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お知らせ

テープストリッピングによる角質評価試験の受託開始2009.09.16

肌状態を評価する試験として、テープストリッピングを用いた角質評価試験を確立し、受託試験を開始することになりました。販売中の製品や開発中の試作品の長期使用における肌状態の改善効果や、化粧品や洗浄剤の接触による角質細胞への影響を評価することができます。

角質層とは

角質層は、ケラチンという蛋白質を主成分とする角質細胞からなる皮膚の最も外側を覆っている層です。角質細胞は、表皮の最下層に存在する表皮角化細胞が分裂を繰り返し、皮膚表面に押し上げられる過程で細胞核を失うため(脱核)、死んだ細胞とみなされています。この表面に現れた角質細胞は、下から新しい細胞が出来るたびに垢(あか)となって剥がれ落ち、日々生まれ変わっています。 また、表皮角化細胞は、角質細胞となる過程において細胞内でセラミドなどの細胞間脂質や天然保湿因子(NMF)などの様々な物質を作り出し、角質層に保湿力を持たせるよう成熟していきます。このようにして、角質層は常に新しい細胞と入れ替わり、肌の保湿力を保たせる働きを担っているのです。この、角化細胞が分裂を繰り返し、最後垢となって剥がれおちるまでの過程をターンオーバーと呼びます。

ターンオーバーと肌荒れの関係

健康的な肌では、ターンオーバーは約28日周期と言われています。しかし、乾燥や紫外線といった外界からの刺激を受けると、皮膚はそのダメージを回復させるために表皮細胞の分裂を盛んにさせ、ターンオーバーの速度が速まってしまいます。
すると、未成熟な角質細胞が形成されてしまい、肌の保湿機能やバリア機能が不完全になったり、古くなった角質細胞の剥離(はくり)がスムーズに行われなくなります。その結果、肌は荒れた状態となるばかりでなく、刺激に対しても敏感となり、肌荒れがさらに悪化することにもつながります。

テープストリッピングによる角質評価試験

ターンオーバーが正常に行われず未成熟な角質細胞が増えると、角質細胞の面積は小さくなっていき、中には細胞核が残ったままの角質細胞も現れてきます。また剥離もスムーズに行われないため、古くなった角質細胞は重なり合ってしまいます。未熟な角質細胞が皮膚表面に現れると、ここで挙げたようないくつかの特徴が認められるようになり、この特徴を検出するための方法が、今回ご紹介するテープストリッピングによる角質評価試験となります。
テープストリッピングとは、粘着テープにより皮膚表面の角質細胞を剥離する方法です。剥離して得た角質細胞を染色し、顕微鏡を用いて角質細胞の状態を観察することで、角層診断を行います。ヒトの肌を用いているため、実際に化粧品を塗布した際の角質の状態や肌への影響を評価することが可能となります。利用方法の一例として、化粧品を塗布した場合と塗布しない場合での比較や、ベンチマークとされる商品との比較などでご利用いただけます。

測定例

太陽の光を受けている部分と受けていない部分で比較を行いました(表1)。

この結果から、光を受けた部分は、受けてない部分に比べると細胞の大きさが小さく、形もいびつなことがわかります。また、細胞が重なり合って濃くなっている部分がより多くなり、細胞の重層化が生じていることもわかります。このことから、太陽による紫外線を浴びた肌は、ターンオーバーが正常に行われず、未成熟な細胞が多くなっていることがわかります。 本評価試験でご提供するデータは、次の4つとなります。