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植物抽出物からの抗菌性物質発見2008.12.15

同社基礎研究部の研究により、植物から抗菌性を有する抽出に成功しました。『ベニバナの花』と『イザヨイバラの果実』から抽出したエキスを組み合わせることにより、飛躍的に抗菌性が向上する事を発見しました。

化粧品には、製造工程中や使用途中の微生物による汚染、品質の劣化を防止するために防腐剤が配合されています。一般的には、防腐剤としてパラベン類が汎用されていますが、ヨーロッパを中心にその安全性が疑問視され、皮膚に対する刺激やアレルギー性の問題点が報告されています。また、安全性の観点からパラベン類には配合上限が定められています。

最近では、抗菌性ポリオールが使用または、従来の防腐剤と併用される事がありますが、化粧品において要求される抗菌性に十分な量を配合すると、皮膚に対する刺激性などの問題が生じます。

本研究では上記の問題点を解決するために、安全性の高い原料の一つである植物抽出物に着目し、植物が有する抗菌性を化粧品に応用する事を検討しました。

本実験では、抗菌活性が報告されている植物、及び抗炎症作用のある植物72種類の中からスクリーニングを行いました。その結果、植物エキスを組み合わせることにより相乗効果を示し、細菌類(大腸菌・緑膿菌・黄色ブドウ球菌)に有効な抗菌性を示す『ベニバナエキス』・『イザヨイバラエキス』の組み合わせを発見しました(図1)。

しかし、化粧品に対して十分な抗菌性を示すには植物エキスのみでは、色や臭いの影響が大きくなってしまいます。そこで、植物抽出物に1,3-ブチレングリコール(植物由来)、エタノール(植物由来)のいずれかを組み合わせることにより、更なる抗菌の相乗性を発見し、かつ広い範囲の微生物(大腸菌・緑膿菌・黄色ブドウ球菌・カンジダ・黒コウジカビ)に抗菌スペクトルを有することが分かりました。

一般的な化粧水の処方に『ベニバナエキス・イザヨイバラエキス・1,3-ブチレングリコール(植物由来)』を配合した場合の、黒コウジカビに対する保存効力試験を行った結果です。『ベニバナエキス』と『イザヨイバラエキス』単独よりも、3種類を組み合わせることにより抗菌効果が向上しています(図2)。

また、ゲルやクリーム、美容液にも同様に『ベニバナエキス・イザヨイバラエキス・1,3-ブチレングリコール』を配合し化粧品に有効な抗菌力を示しました。

現在、化粧品原料として抗菌力のある植物エキスでは、特定の菌にのみ効果があるものや、剤系により抗菌効果が大きく低下するものなど必ず欠点が生じます。それらと比較すると、本研究で発見された植物エキスと1,3-ブチレングリコールの組み合わせは広い抗菌スペクトルをもち、様々な化粧品への応用が期待できます。

<ベニバナとは?>
ベニバナとはキク科の1年草または越年草の種子繁殖植物で、古くから口紅や赤の染料の原料として利用されてきました。また、そのエキスは抗炎症や紫外線防御作用などを有することでも知られています。

<イザヨイバラとは?>
イザヨイバラとはバラ科の植物で、ビタミンC を多量に含んでおり、中国ではこの果実が食用として汎用されています。このエキスは活性酸素消去作用を有しており、抗炎症・抗アレルギー作用を有することが知られています。