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スーパーフード「コケモモ」から7種の植物性アルブチンを抽出
美白だけじゃない!エイジングケア化粧品原料を開発
~未利用若葉を活用して産地・環境に配慮した化粧品事業を推進~2021.08.05

スキンケア化粧品の開発とOEM製造を行う株式会社サティス製薬(代表取締役:山崎智士、本社:埼玉県吉川市)は、薬用植物におけるアルブチン本来の役割を研究してきました。そこから、コケモモに含まれる植物性アルブチンがミトコンドリア保護に有効であるとの着想を得て、紫外線から肌の老化を防ぐ化粧品原料「こけもも若葉の活性型アルブチン」の開発に成功しました。21年6月より、化粧品OEM事業のオリジナル原料としての展開を開始します。

1.長野県産コケモモ若葉のアルブチンの膜保護機能に着目

1-1)山奥の厳しい自然環境でも元気に育つコケモモ
 コケモモは海外ではリンゴンベリーと呼ばれ、若返りの果実として今注目されているスーパーフードです。北欧の寒く厳しい自然環境で自生し、-40℃でも赤い果実をつけ、雪深い過酷環境でも青々とした葉を保つ強い環境適応力をもちます(図1)。天然コケモモは国内では絶滅が危惧されているため、その多くが自然公園法によって採取禁止とされています。本原料には長野市の地域再生活動の一環として園芸栽培されたものを使用しています。

1-2)7種の植物性アルブチンはコケモモの強さの秘訣 ~葉緑体の膜保護成分~
美白成分として有名なβアルブチンの開発の原点は、実はコケモモにあります。化粧品ではβアルブチン1種類のみが化学合成されて利用されていますが、独自研究の結果、我々はコケモモ若葉には7種の植物性アルブチン誘導体が豊富に存在することを見出しました。コケモモ自身にとってのアルブチンの役割は、紫外線や乾燥からの葉緑体の膜保護にあると考えられています。そこで我々は、この植物性アルブチンの膜保護機能を肌に活かそうと考えました。

2.「こけもも若葉の活性型アルブチン」のミトコンドリア保護作用

2-1)葉緑体とミトコンドリアは類似している ~太古の細胞内共生より~
10~20億年前、2種のバクテリアが他の細胞に共生し、それぞれ現在に至るのが葉緑体とミトコンドリアです。両器官の構造や機能は類似しており、また弱点も類似しています(補足資料1)。そこで我々は、葉緑体の膜保護成分である植物性アルブチンであれば、肌のミトコンドリア膜を保護できるのではと考えました。ミトコンドリアは体重の10%も占める体内のエネルギー工場で、これが紫外線などで傷害を受けると大量の活性酸素(ROS)を放出し、肌の老化の原因となります。

2-2)「こけもも若葉の活性型アルブチン」が紫外線ストレスから肌ミトコンドリアを守る
真皮線維芽細胞にUV-Aを照射すると傷害ミトコンドリア(黄色に発光)が増加します(図2中央)。一方、「こけもも若葉の活性型アルブチン」を添加した細胞では、UV-A照射下でもミトコンドリアが正常状態(赤色に発光)に維持されていました(図2右)。
加えて、本原料には細胞賦活やコラーゲン産生などにおいて、βアルブチンには見られないエイジングケア効果が確認されています(補足資料2)。このことから、7種の植物性アルブチンはすなわち「活性型アルブチン」と考え、本原料を「こけもも若葉の活性型アルブチン」と名付けました。

3.植物性アルブチンならではのブライト効果1.7倍

「こけもも若葉の活性型アルブチン」は、同濃度に調製した合成品のβアルブチンよりも1.7倍(50%抑制濃度から算出)高いメラニン産生抑制活性を示しました(補足資料3)。これは、チロシナーゼ活性を抑制するという従来のアルブチンの機能に加えて、7種の植物性アルブチンの複合的な効果によるものと考えられます。

今後の展開

本原料に使用したコケモモの栽培には長野市の地元農家だけでなく、福祉における特別支援教育を行っている「NPO法人翔和学園」の学生も自然教育の一環として栽培に携わっています。サティス製薬は、植物のアップサイクル技術の開発、地域共創、さらに「農×粧×福連携」といったSDGs達成において貢献度の高い本原料を、OEMを通じて多くの製品に配合していきます。

--技術情報--

<補足資料1>
◆ミトコンドリアは葉緑体と類似した細胞小器官
ミトコンドリアと葉緑体との間には以下に挙げた多くの共通点があります:①外膜と内膜の二重の膜構造をもつ、②エネルギーの生産工場、③細胞内共生により核とは異なる独自のDNAを持つ、④紫外線や乾燥ストレスに弱い、⑤生体内における活性酸素の発生源、など。
ミトコンドリアには本来、活性酸素を消去する様々な防御機構が備わっていますが、加齢や紫外線などの外部刺激により防御能力が低下し、ミトコンドリア自身が傷害を受けてしまいます。本原料は、葉緑体の保護成分アルブチンを肌ミトコンドリア保護に応用したものです。

<補足資料2>
◆真皮のコラーゲン産生を活性化:肌のハリ・シワ・タルミ・弾力改善効果が期待
「こけもも若葉の活性型アルブチン」は真皮線維芽細胞において、細胞増殖促進、コラーゲン産生促進、I型コラーゲン合成遺伝子発現促進効果を示しました。一方、同濃度に調製したβアルブチン(合成品)ではいずれも活性は見られませんでした。以上から「こけもも若葉の活性型アルブチン」には、紫外線による肌のミトコンドリア傷害を防ぐことで細胞を若々しく保ち、肌のエイジングケア効果が期待できます。

<補足資料3>
◆チロシナーゼ活性抑制効果:メラニン産生を抑え、シミ発生の予防効果が期待
αMSH(メラノサイト刺激ホルモン)をB16メラノーマ細胞に添加することで、メラニン産生酵素であるチロシナーゼが活性化しました。このメラニン産生刺激細胞に「こけもも若葉の活性型アルブチン」を添加すると、チロシナーゼ活性が無刺激レベルまで抑制されることが示されました。