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紅たでフラボノイドS

 
ふるさと元気プロジェクト
和食の名脇役「紅たで」を主役に。
メラノソームを酸性化し、シミのできにくい細胞環境に整える

 ~紅たでフラボノイドS~2021.04.09

✔ メラノソーム酸性化はチロシナーゼを働かせないための美白の土台
✔ 「紅たで」で初めて発見*された植物の細胞内酸性化因子「フラボノイド硫酸」に着目
✔ 和食文化の名脇役「紅たで」由来化粧品原料が肌をシミのできにくい細胞環境に

  *ヤナギタデで発見。紅たではヤナギタデの子葉

 


1. 紅たでフラボノイドS_期待される効果と有効性情報

期待される効果

シミ 敏感肌(抗炎症) 透明感

有効性情報

■シミ
メラニン産生抑制(メラノソーム酸性化)
メラニン産生抑制(細胞メラニン量)

■敏感肌・抗炎症美白
抗炎症(COX2生成抑制)
抗炎症(EDN1生成抑制)
抗炎症(SCF生成抑制)
抗炎症(PAR2生成抑制)

■透明感・くすみ
抗糖化(AGEs生成抑制)

■活性酸素消去
抗酸化(DPPHラジカル)
抗酸化(O2-ラジカル)
抗酸化(過酸化脂質)


2.メラノソーム酸性化は美白の土台

美白研究においては、チロシナーゼタンパク質の発現や活性の阻害、PMEL17やMITFといったメラノジェニックな関連タンパク質の発現阻害、さらにはメラノサイトを活性化する炎症因子の発現阻害など、多面的なアプローチがなされています。

なかでもメラニン生成の律速酵素であるチロシナーゼは、美白原料開発において最も重要なターゲットの一つです。このチロシナーゼの活性制御には、実はメラノサイトのpH環境が極めて重要であることが分かってきました(図、文献1)。

 ①メラノソームの中性pH環境はチロシナーゼ活性とメラノジェネシスの最適条件
 ②コーカソイドのメラノサイトではメラノソームが低pHであるためメラノジェネシスが抑制
 ③ユーメラニン/フェオメラニン産生比とメラノソーム成熟度はメラノソームpHで制御

これらのことから、メラノソームpHがメラニン生成を制御する最重要因子であると考えられています(文献2)。
 

    図 メラノソーム酸性化は美白(メラニン生成抑制)の土台

従来の美白原料(左図):
これまでは、メラニン生成を引き起こす様々なシミ因子(活性酸素、炎症、関連酵素など)に個々に対応するための美白原料(A~Dなど)が開発されてきました。

本開発の美白土台原料(右図):
チロシナーゼが存在するメラノソームはメラニン色素を作り出す唯一の場です。メラノソーム酸性化は、細胞環境そのものをメラニン色素が作り出されにくくすることで、多くのシミ因子が惹起するメラニン生成に対するトータルケアが期待できることから、いわば美白の土台です。

我々はメラノソーム酸性化をターゲットとした植物原料を開発するにあたり、植物の液胞酸性化能に着目しました。


メラノソーム:メラノサイト内に存在する細胞内小器官で、メラニン生合成の場。ここでチロシンがチロシナーゼによって酸化されてドーパに、さらにドーパキノンへと代謝される。
文献1:Regulation of the catalytic activity of preexisting tyrosinase in black and Caucasian human melanocyte cell cultures.
    Fuller BB et al. Exp Cell Res. 262(2) 197-208 (2001)
文献2:Intramelanocytic acidification plays a role in the antimelanogenic and antioxidative properties of vitamin C and its derivatives.
    Miao F et al. Oxid Med Cell Longev. 12 (2019)


3. 紅たでのもつ知られざる力:細胞内酸性化能

 3-1. 紅たでに着目

紅たでは日本各地の休耕田や川原に自生するヤナギタデの子葉で、湿生植物に分類されます。湿生植物の一部にはフラボノイド硫酸といわれる酸性ポリフェノール成分が特異的に存在し、これはヤナギタデで初めて発見されました。フラボノイド硫酸(硫酸化フラボノイド)は植物細胞内の酸性化に関わると言われています(文献3)。

我々は、この植物の細胞内酸性化因子を化粧品原料化できれば「肌のメラノソーム酸性化」を実現できると考えました。

<紅たでに着目した理由>
①ヤナギタデは1937年に初めてフラボノイド硫酸が発見された植物
②フラボノイド硫酸は細胞内酸性化能をもつ
③日本原産植物で和食文化の陰の立役者
④伝統和食材として食経験が長い
⑤高い抗菌力をもつ健康食材
⑥スプラウトならではの高い日傘効果(未熟な葉緑体を保護)

文献3:Sulphated Flavonoids: Biosynthesis, Structures, and Biological Activities.
    Yanna CFT et al. Molecules 23 480 (2018)


 3-2. 紅たでの細胞内酸性化因子 〜フラボノイド硫酸〜

図 紅たで抽出物に含まれるフラボノイド硫酸(硫酸化フラボノイド)

LC-PDA/MSにより紅たで抽出物に含まれるフラボノイドを分析しました。MSはM-Hのネガティブイオンモードでモニターしました。紅たでには、ラムナジン硫酸、イソラムネチン硫酸、ケルセチン硫酸といった複数のフラボノイド硫酸が主要なフラボノイドとして検出され、ラムナジン硫酸が最も多い成分でした。他には、イソケルシトリン、ケルセチンなどが含まれていることが確認されています。

食用とされる紅たではヤナギタデの新芽、すなわちスプラウトです。そこで成体のヤナギタテの葉と成分を比較したところ、ヤナギタデ成体にはラムナジン硫酸は検出されず、本成分はスプラウトに特異的な成分であることが示唆されました。

紅たでに含まれるフラボノイド硫酸は、アルドース還元酵素阻害作用(糖尿病性白内障におけるポリオールの水晶体への蓄積を阻害)をもつことでその有効性が研究されている成分でもあります(文献4)。

キー成分であるFlavonoid Sulfate(フラボノイド硫酸)から、本原料を「紅たでフラボノイドS」と名付けました。

<湿生植物におけるフラボノイド硫酸の役割>
植物は、根から吸収して細胞に流入したNaイオンを細胞質から液胞に隔離させます。その結果、液胞内のpHは上昇してしまうので、液胞を本来の酸性に戻すための特異な能力が存在します。この能力の一つがフラボノイド硫酸の細胞内酸性化能であると考えられています。

文献4:Effect of Polygonum hydropiper sulfated flavonoids on lens aldose reductase and related enzymes.
    Haraguchi H et al. J Nat Prod. 59 443-445 (1996)


4. 紅たでフラボノイドSのメラノソーム酸性化によるメラニン産生抑制作用

 4-1. メラノソーム酸性化

<試験方法>
①細胞数測定・播種、ヒト正常メラノサイトを血清10%含有DermaLifeで細胞数100,000(個/mL)に調製、35mmディッシュ中央部に細胞懸濁液をとり2時間インキュベート後、DermaLifeを添加
②試薬添加、紅たでフラボノイドS (終濃度65μg/mL) を添加し72時間培養
③固定培地を除いたディッシュに以下を順次添加しインキュベート
30µM DAMP、4%パラホルムアルデヒド、50mM NH4Cl、0.1%Triton-X100、10%Goat Serum
冷蔵庫で24時間保存
④染色各工程で適宜PBS洗浄・希釈、希釈した一次抗体(チロシナーゼ:Tyrosinase Monoclonal Antibody T311)、希釈した二次抗体(anti-dinitrophenyl-KLH rabbit IgG fraction)、希釈した二次抗体(Alexa Flor 568 goat anti-mouse antibody)、DAPI solution添加、冷蔵庫で保存
⑤観察・撮影、共焦点レーザー走査型顕微鏡 FLUOVIEW FV3000 (Olympus)で撮影

       図 紅たでフラボノイドSはメラノソームを酸性化
        A:メラノサイトが酸性化染色により緑色に発光
        B:細胞内のチロシナーゼの存在場所が酸性化

<結果と考察>
◆メラノサイト酸性化染色画像(図A)

紅たでフラボノイドSを添加して培養したメラノサイトでは、エキス非添加で培養したメラノサイトに比べて酸性化染色性(緑色)が増加しました。DAMPは細胞内小器官のpHインジケーターとして使用され、緑色の蛍光が増強していればメラノサイト内の酸性化が亢進したことを意味します。

◆メラノサイト拡大画像(図B)

・抗チロシナーゼ抗体:メラノサイト内のチロシナーゼの存在場所が赤色に発光します。エキス有無に関わらず多量のチロシナーゼが存在することが分かります。
・酸性化染色:メラノサイト内の酸性化した場所が緑色に発光します。エキス添加により緑色が強くなっていることが分かります。
・重ね合わせ:赤色と緑色の画像を重ね合わせることでチロシナーゼ存在場所が酸性化していると黄色が強く表示されます。エキス添加により黄色が強くなっていることが分かります。

紅たでフラボノイドSを添加することにより、メラノサイト内のメラノソームに局在しているチロシナーゼの存在場所が酸性化することが示されました。このメラノソーム酸性化作用により、チロシナーゼ活性が低下することによるメラニン産生抑制作用が期待できます。
 


 4-2. メラニン産生抑制作用(細胞メラニン量)

<試験方法>
B16メラノーマ細胞を24時間培養。その後、αMSH(メラノサイト刺激ホルモン)、テオフィリンおよび紅たでフラボノイドS含有DMEMを加え72時間培養。細胞数を測定、メラニン可溶化後、405nmでメラニン測定
試験濃度:2.6, 260μg/mL t-検定: **P<0.01

図 紅たでフラボノイドSのB16メラノーマ細胞におけるメラニン産生抑制作用

<結果と考察>
αMSH(メラノサイト刺激ホルモン)とテオフィリンをB16メラノーマに添加することで、メラニン産生量の増大が見られました。テオフィリンは細胞に日焼けに似た状態を誘発する薬剤です。αMSHはMC1Rの活性化を介して転写因子MITFを刺激し、チロシナーゼ産生を誘導します。このメラニン産生刺激B16メラノーマ細胞において、紅たでフラボノイドSは260ug/mLの濃度で無刺激細胞の低メラニン産生レベル以下までメラニン生成量を抑制(31%)しました。

αMSHはメラノサイトのcAMP濃度を上昇させ、これによりCREBP-MITF経路が活性化することで、TYR発現を上昇させ、チロシナーゼを多く作り出します。その結果ユーメラニンが増産され、細胞は黒化します。一方、チロシナーゼはpH感受性が非常に強く、細胞内pHが上昇すると活性は増大します。つまりTYR発現量とは別に活性は制御されています。また、αMSHによる長時間の細胞刺激(本試験の培養時間など)は、メラノソームpHに影響を与えることが分かっています(文献5)。紅たでフラボノイドSは上図の結果からも、メラノーマ細胞内の上昇するpHを抑制することで、メラニンが作り出されにくい細胞環境を整えたものと考えられます。なお、本原料の添加はメラノーマ細胞の生存率には影響を与えませんでした(統計的有意差なし)。

文献5:Mammalian pigmentation is regulated by a distinct cAMP-dependent mechanism that controls melanosome pH.
    Zhou D et al. Sci Signal. 11 555 (2018)


5. フラボノイド硫酸の経皮吸収性

       図 フラボノイド硫酸とフラボノイド配糖体の角層浸透性の違い

紅たでフラボノイドSを皮膚に塗布し、塗布部を石鹸で洗浄後、テープストリッピング法により角層浸透性を評価しました。その結果、角層浅層ではラムナジン硫酸の浸透量はイソケルシトリン(ケルセチン-3-O-グルコシド)の4.4倍、さらに深層部では3.4倍多く浸透していることが分かりました。

フラボノイドの硫酸抱合は人の腸管でも起きている生命現象の一つです。水溶性が高まることで、植物成分の人体への毒性低下の役割も担っています。皮膚角層は脂溶性の高い成分が一般に浸透性が高いとされていますが、本試験において、ラムナジン硫酸も角層へとしっかり浸透することが示されました。


6. 抗炎症作用(表皮角化細胞の炎症関連遺伝子抑制)

<試験方法>
ヒト表皮角化細胞を24時間培養。その後、紅たでフラボノイドS含有DMEMを加え48時間培養。その後、RNA抽出よびcDNA合成。cDNAを用いてRT-qPCR。試験濃度: 2.6, 26 μg/mL t-検定: **P<0.01

図 紅たでフラボノイドSの表皮炎症関連遺伝子の発現抑制作用

<遺伝子の特徴>
COX2(Cyclooxygenase-2: シクロオキシゲナーゼ-2)
炎症性エイコサノイドであるプロスタグランジンE2(Prostaglandin E2:PGE2)を産生する酵素。PGE2はEP3受容体を介して皮膚マスト細胞を活性化させ、ヒスタミン放出を介して炎症を惹起します。PGE2は強い血管拡張作用(血管透過性亢進)をもち赤斑(紫外線暴露後の皮膚の赤味など)の原因物質でもあります。
EDN1(Endothelin-1: エンドセリン-1)
表皮細胞から産生されるサイトカインでプルリトゲン(痒み因子)の一つ。UVB暴露後に生じるTNFαなどが誘発する炎症は表皮細胞からEDN1を放出させ、これが皮膚に分布する神経線維を刺激することで難治性の痒みを誘発します。EDN1はケラチノサイトからのIL25の生産を促進させTh2型への免疫偏移を加速させます。EDN1とそのレセプターEDNRAはAD患者の罹患部で過剰発現していることが知られています。
SCF(Stem cell factor: 幹細胞増殖因子)
紫外線などの刺激により表皮細胞から産生されるヒスタミン放出因子あるいは放出促進因子の一つ。アレルギーシグナルの初発に関わります。マスト細胞のc-kit受容体リガンドであるSCFは、同じマスト細胞のIgE受容体を活性化させてアレルギー反応を増強させます。
PAR2(Protease-activated receptor-2: プロテアーゼ受容体)
活性化したマスト細胞から分泌されるトリプターゼの受容体。このリガンド作用がTh2サイトカイン分泌による炎症と痒みを促進させます。PAR2はAD患者の皮膚で発現が亢進しています。角化細胞の成長・分化、フィラグリン発現を阻害してバリア機能を低下させます。フィラグリン低下はその代謝産物の減少による角層pHの上昇を伴います。

<結果と考察>
紅たでフラボノイドSはヒト表皮角化細胞において、シクロオキシゲナーゼ-2(COX2)、エンドセリン-1(EDN1)、幹細胞増殖因子(SCF)ならびにプロテアーゼ活性化受容体(PAR2)の遺伝子発現を抑制しました。
発現抑制率:COX2 (41%, 49%), EDN1 (72%, 81%), SCF (36%, 45%), PAR2 (32%, 44%)

紫外線などの刺激は、表皮細胞の様々な炎症関連の“遺伝子スイッチ”を入れます。COX2が産生するPGE2やSCFはマスト細胞を活性化させ、そこからトリプターゼの分泌を促進させます。トリプターゼはPAR2のリガンドとして作用し、痒みのシグナルを伝達させます。
紅たでフラボノイドSには以下の作用が期待できます。
 ①アレルギーシグナルの初発であるCOX2とSCF、痒み伝達に強く関わるPAR2を抑制することでイッチスクラッチサイクルを防ぐ
 ②炎症因子を抑制することでさらなる増悪化を防ぐ
 ③Th2型炎症を抑制することでAD寛解に寄与


7. 抗酸化作用

 7-1. ラジカル消去・過酸化脂質生成抑制・SOD様作用

<試験方法>
ラジカル消去試験:DPPHラジカルの消去能を測定
試験濃度:7.8, 26, 78 μg/mL
過酸化脂質生成抑制試験:リノール酸が酸化してできる共役ジエンを測定
スーパーオキシド消去試験:キサンチン/キサンチンオキシダーゼ系により生じるO2-を測定
試験濃度: 26, 78, 260 μg/mL, t-検定: **P<0.01

図 紅たでフラボノイドSの抗酸化作用

<結果と考察>
紅たでフラボノイドSは、DPPHラジカル消去活性、過酸化脂質生成抑制作用およびスーパーオキシド消去作用を示しました。紫外線暴露により生じるROSを消去することにより光老化抑制効果が期待できます。また、過酸化脂質の生成を抑制することにより、過脂化メラニンの産生を抑え、皮膚のターンオーバーを正常化することによる、美白効果も期待できます。
DPPH消去率(24%, 67%, 84%);過酸化脂質抑制率(6%, 20%, 49%); スーパーオキシド消去率 (30%, 53%, 85%)


 7-2. SOD様作用:ヤナギタデ葉(紅たで成体)との比較

<結果と考察>
紅たでフラボノイドSのスーパーオキシド消去作用(SOD様作用)は、各濃度においてヤナギタデ葉(成体)よりも有意に高いことが示されました。自然界における新芽や太陽光の元で育ったスプラウトは紫外線に対する特異な抵抗力(日傘効果)を持つと言われています。
ヤナギタデのSOD様活性 (6%, 35%, 65%)
※試験条件は7-1項と同様


8. 抗糖化作用

 8-1. 抗糖化作用(コラーゲン糖化)

<試験方法>
AGEs生成抑制試験:コラーゲンとグルコースを60℃, 24hr反応
蛍光性AGEsは励起波長370nm、検出波長440nmの蛍光強度を測定
陽性対照として1mM アミノグアニジン(AG)を使用
試験濃度:0.78 mg/mL

図 紅たでフラボノイドSのコラーゲン糖化抑制作用

紅たでフラボノイドSはでAGEs生成抑制効果を示し、1mMのアミノグアニジン(AG)と近い活性でした。[AGEs抑制率:42.2% (1mM AG 34.4%)]

文献によると、紅たでは試験に供された数十種の植物のなかでもトップレベルのAGEs生成抑制効果をもち、さらに3-デオキシグルコソン(3-DG)などのAGEs反応中間体生産において特に強い抑制効果を示すことが報告されています(文献6)。植物に含まれるポリフェノール類がAGEs中間体と付加体を形成することでAGE形成が阻害されると考えられています(文献7)。また、肌のAGEs生成は加齢だけでなく、紫外線暴露により生じるROSによっても促進されるため(文献8)、抗酸化成分の補給はAGEs生成抑制に効果的であると考えられます。

AGEsの蓄積は、肌のくすみの原因になるだけでなく、肌弾性を低下させ、肌を固くしてしまうなどの物理的機能の低下も引き起こします。

文献6:Anti-glycative effect of vegetable and fruit extracts on multiple glycation models.
    W Takabe et al. Glycative Stress Research 4 1 071-079 (2017)
文献7:Phytochemicals from berries and grapes inhibited the formation of advanced glycation end‐products by scavenging reactive carbonyls.
    Wang W et al. Food Res Int. 44 2666–73 (2011)
文献8:Expression of Advanced Glycation End-Products on Sun-Exposed and Non-Exposed Cutaneous Sites during the Ageing Process in Humans.
    M Crisan. PLoS One. 8 10 (2013)

 8-2. 紅たでスプラウトの高い日傘効果

発芽したばかりの新芽(スプラウト)では、葉緑体の防御機構が未発達なため、紫外線に対する備えが十分ではありません。そこで日傘成分となる水溶性ポリフェノールを表皮細胞に蓄積し、強力な太陽光から身を守っています。

新緑の頃の木本植物の新芽が赤色をしていることが多いのは、日傘成分の一つであるアントシアニンをもち紫外線から葉緑体を守っているためです。スプラウトである紅たでにもフラボノイド硫酸の他にアントシアニンが蓄積しています。フラボノイド硫酸は液胞を酸性化することで、アントシアニンの安定的な蓄積にも寄与すると言われています。紅たでは和食に彩りを与えているだけでなく、健康食材としての役割も担っています。


9. 紅たで 〜和食の名脇役〜

2013年にユネスコ無形文化遺産にも登録された「和食」は単なる料理の一ジャンルで語れるものではなく、日本人が古来受け継いできた「自然の尊重」や「健康長寿への願い」の精神に立脚した大切な文化です。

これを体現したものに刺身に添えられる様々な植物があります。その一つ「紅たで」には、鮮やかな彩りに加えて生ものの生臭さを消したり殺菌力を発揮したりと、健康に資する知恵が込められています。

<紅たでの特徴>
 ・たでは「水辺の胡椒(hydropiper)」といわれる辛味成分をもつ湿性植物
 ・タデ科イヌタデ属のヤナギタデ(学名:Persicaria hydropiper)の子葉(新芽)
 ・藍染のタデアイ、漢方のダイオウなどもタデ科
 ・解毒や虫よけにも使われていた
 ・抗菌力の高さから古くから和食の褄(つま)として広く利用されてきた
 ・和食は2013年に無形文化遺産に登録されている
 ・鮎料理に欠かせないことからアユタデとも言われる
 ・福岡県、静岡県、大阪府、広島県が主産地
 ・食文化の変遷、鮮度保持技術向上による需要減少もあり、健康野菜としての情報発信に努めている
 
<機能性>
 ・辛味成分であるタデオナール(ポリゴジアール)を含有し、殺菌作用・抗菌作用に優れる
 ・新芽では葉緑体の抵抗力が未発達のため、新芽特有の防御物質(日傘成分)をもっている
 ・タデは眼球(pH異常の影響を受けやすい)の疾病治療に有効との研究報告あり
 


10. 製品情報_ふるさと元気プロジェクト&SDGs

<原料情報>
・福岡県朝倉市 JA筑前あさくら紅たで部会の紅たでと青たでを使用
・表示名称:ヤナギタデエキス
・INCI: Persicaria Hydropiper Extract
・中文名称:辣蓼(PERSICARIA HYDROPIPER)提取物 

<SDGs(持続可能な開発目標)>
本原料はSDGs17目標169ターゲットのうち、以下の4目標10ターゲットの達成に貢献します。
8.9 / 9.4 / 9.b / 11.4 / 11.a / 12.3 / 12.5 / 12.8 / 12.a / 12.b

<安全性情報>
・24時間閉塞パッチテスト:刺激性なし
・SIRC細胞を用いた眼刺激性試験:刺激性なし
・ROSアッセイによる光毒性試験:陰性

「ふるさと元気プロジェクト」の目指す化粧品のバリューチェーン
地域農産品(一次産品)のもつ固有の価値(バリュー)に
  ①化粧品OEM会社の有する技術力
  ②化粧品販売メーカーの企画販売力
  ③消費者の評価
 などが加わることにより、一次産品の価値が連鎖的に高まります。消費者は化粧品製品と産地・産品に共感を覚え、これはSNSによる拡散、食文化の継承など、地域振興へとつながります。
 化粧品により「筑前あさくらの紅たで」に付与された新しいバリューが、生産者にフィードバックされます。



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