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微生物を用いた保存効力試験2016.11.09

化粧品の必須項目-防腐

化粧品に絶対的に必要となるもの、それが防腐です。流通されている間はもちろんですが、特に開封後の微生物混入による腐敗から化粧品を守ることが重要となり、そのためには防腐剤の添加が必須となります。しかし、防腐剤を添加することで必ずしも製品が腐敗しないとはいいきれません。たとえば、防腐剤として広く使用されているメチルパラベンやプロピルパラベンなどのパラベン類は、ある種の非イオン界面活性剤やメチルセルロース、ゼラチンといった成分が共存した場合や、あるpHとなった場合などに不活性化してしまいます。また、防腐剤の種類によって微生物に対する抗菌力が異なっていることも注意すべき点です。このように、化粧品開発においては、その種類や使用原料などにより、添加する防腐剤の種類や濃度などをコントロールする必要があるのです。そして適切にコントロールされた製品は、「保存効力試験法」という評価試験を行うことで防腐力が数値化され、製品の防腐力を視覚化することが可能となります。

保存効力試験法とは?

保存効力試験法とは、化粧品に配合されている防腐剤の効力を調べるために、人為的に微生物を混入させ、その生育状況を観察するという微生物学的評価のことをいいます。この試験法は日本薬局方にも記載されている方法で、試験期間は準備期間を含め約2ヶ月と長期間を必要とします。日本薬局方では、試験に使用する菌株種について、大腸菌・緑濃菌・黄色ブドウ球菌・カンジダ・黒コウジカビといった、いずれも生活環境中から混入する恐れのある微生物を指定しています。サティス製薬では、これら全ての菌株種についての保存効力試験を行うための設備を用意しております。

保存効力試験法の第一目的とは?

保存効力試験法は製品の防腐力を調べることができることから、より安全な製品設計を行う手段としても利用することができます。すなわち、防腐に必要とする防腐剤の最低濃度を導き出すことにより、過剰な防腐剤の添加を防ぐことができ、皮膚への負担を軽減することが可能となる、ということです。保存効力試験法とは、このような製品を使用する“人”に焦点を当てることが本来の利用目的なのです。