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四万十ぶしゅかんヘスペリジン

 
ふるさと元気プロジェクト [医薬部外品表示名称:チンピエキス]
幻の柑橘にはフラバノンがバランス良く高含有 
 ~ 四万十ぶしゅかんヘスペリジン ~2019.02.05

地域固有の伝統の柑橘 “四万十ぶしゅかん” の搾汁残渣を活用し、植物の力を引き出す技術で原料化しました。高浸透型ヘスペリジンを含有する、抗炎症美白効果と抗老化効果が期待できる業界初の柑橘原料です。

FGP: ふるさと元気プロジェクト


1. 四万十ぶしゅかんとは

柑橘類はムクロジ目ミカン科の植物で、日本で栽培されている品種だけでも100種以上あります。香酸柑橘類としては、ユズ、スダチ、カボス、ジャバラなどがあり、その素晴しい香りから日本食には欠かせない食品となっています。これら柑橘類のとくに果皮部には、柑橘特有のポリフェノールであるフラバノン類が豊富に含まれ、健康機能性が大変注目されています。
 四万十ぶしゅかん(学名:Citrus inflata)も香酸柑橘類の一つで、現在は四万十川流域のみで栽培されている幻の柑橘です。この名前は、一説によると仏像の御手に乗っている宝珠に似ていることに由来し、人間の手のような形をした「仏手柑」とは別物です。普通の柑橘では30年実がなるところが、ぶしゅかんは100年以上も実がなり続け、柑橘類でも随一の生命力を宿しています。
その素晴らしい香りから四万十では欠かせない食品で、四万十市と四万十の生産者が連携して需要拡大に努めています。
この柑橘に着目して独自に研究を進めた結果、フラバノン類が他の柑橘よりも非常に多く含まれることを発見しました。


2. 四万十ぶしゅかんはフラバノンを高含有

ぶしゅかん果皮に含まれるフラバノンは柑橘類トップレベルの含量でした(当社調べ)。ナリンゲニンやヘスペレチンといった低分子フラバノン(アグリコン)は、経皮吸収性に優れる高浸透型フラバノンです。
 

”四万十ぶしゅかんヘスペリジン”に含まれる主要フラバノン


3. フラバノン類の角層浸透性試験 -テープストリッピング法-

<試験方法>
エキス(四万十ぶしゅかんヘスペリジン)含浸パッチを6時間皮膚貼付し、パッチ剥離後洗浄し、テープストリッピングで角層を1層ずつ採取。テープを溶媒抽出し、LCMS-SIMで分析
※ナリルチンはナリンギンを、ヘスペリジンはネオヘスペリジンを含む

            四万十ぶしゅかんヘスペリジンの角層浸透性試験

<結果と考察>
角層に浸透した各フラバノン類をSIM分析で高感度分析しました。配糖体であるナリルチンやヘスペリジンは角層の奥に行くに従い含有割合が低下したのに対し、低分子アグリコンであるナリンゲニンやヘスペレチンの割合は増加しました。このことから、ヘスペレチン(ナリンゲニンも含む)は高浸透型フラバノンといえます。
浅層に著量検出されたフラバノン配糖体であるヘスペリジンやナリルチンは、表皮の配糖体加水分解酵素により緩やかに分解され、持続的な効果も期待できます。


4. 有効性情報と期待される効果

 

有効性情報
・ラジカル消去
・過酸化脂質生成抑制
・炎症関連遺伝子発現抑制
・メラニン移送関連遺伝子発現抑制
・ヒアルロン酸分解抑制/合成促進
・血流改善1)
 

期待される効果
・抗酸化
・抗光老化
・美白
・抗炎症
・しわたるみ改善
 

1) 吉谷ら 日本栄養・食糧学会誌 61(5) 233-239 (2008)
 


5. 四万十ぶしゅかんヘスペリジンの抗炎症関連の美白作用 -ヒト表皮角化細胞-

<試験方法>
ヒト表皮角化細胞を24時間培養。その後、”四万十ぶしゅかんヘスペリジン”含有DMEMを加え48時間培養。その後、RNA抽出よびcDNA合成。cDNAを用いてRT-qPCR。試験濃度単位: μg/mL

<遺伝子の特徴>
IL1A(Interleukin-1α: インターロイキン-1α)
表皮細胞から産生される炎症性サイトカイン。産生されたIL-1αは色素細胞を刺激し、メラニン産生を促進します。紫外線などの影響で増加し、シミ形成の原因となります。
EDN1(Endothelin-1: エンドセリン-1)
表皮細胞から産生されるサイトカインの1つ。紫外線などの影響により表皮細胞で作り出されたエンドセリン-1は色素細胞を刺激し、色素細胞内のチロシナーゼを活性化させメラニン産生を促進します。
PAR2(Protease-activated receptor-2: プロテアーゼ受容体)
メラノサイトから表皮細胞へのメラニンの移行に関わり、表皮細胞内にメラニンを貯留させてしまうタンパク質。紫外線や炎症によって増加し、表皮細胞が過剰にメラニンを抱え込むとシミの原因となります。

<結果と考察>
”四万十ぶしゅかんヘスペリジン”は、ヒト表皮角化細胞において、インターロイキン-1α(IL1A)、エンドセリン-1(EDN1)ならびにプロテアーゼ活性化受容体(PAR2)の遺伝子発現を抑制しました。
 紫外線などによって発生する活性酸素種(Reactive Oxygen Species, ROS)は、表皮細胞の様々な“遺伝子スイッチ”を入れ、IL1Aなどの炎症性のタンパク質の産生が促進されます。EDN-1は表皮細胞から分泌され、EPBRというレセプターを介してメラノサイトに信号を伝達し、メラノサイトのチロシナーゼ活性を高めます。また、紫外線や炎症はPAR2も増加させ、表皮細胞が過剰にメラニンを抱え込む原因となります。”四万十ぶしゅかんヘスペリジン”には、これらの因子を抑制することによる美白効果が期待できます。


6. 四万十ぶしゅかんヘスペリジンの抗老化作用 -真皮線維芽細胞-

<試験方法>
真皮線維芽細胞を24時間培養。その後、”四万十ぶしゅかんヘスペリジン”含有EMEMを加え24時間培養。その後、RNA抽出よびcDNA合成。cDNAを用いてRT-qPCR。試験濃度単位: μg/mL

<遺伝子の特徴>
HYAL1(Hyaluronidase-1: ヒアルロニダーゼ-1)
肌の水分保持に重要であるヒアルロン酸を分解する酵素。炎症によって真皮線維芽細胞で増加し、しわやたるみの原因となります。
HAS2(Hyaluronan synthase-2: ヒアルロン酸合成酵素-2)
真皮でのヒアルロン酸合成を担う酵素。真皮に存在する線維芽細胞に発現し、高分子のヒアルロン酸を作り出します。ヒアルロン酸は肌の水分保持に関与し、肌にハリを与えてシワを防ぎます。

<結果と考察>
”四万十ぶしゅかんヘスペリジン”はヒアルロニダーゼ遺伝子の発現を阻害し、ヒアルロン酸合成酵素の遺伝子の発現を促進しました。
加齢や紫外線などによって発生したROSは線維芽細胞を刺激します。刺激を受けた線維芽細胞は、ヒアルロン酸の分解酵素であるHYAL1の産生を促進します。この分解酵素によるヒアルロン酸の減少や変性は、肌の柔軟性や水分保持機能を低下させます。加齢や紫外線などが原因で柔軟性の低下した肌や乾燥した肌では、表情の癖によって生じた表情線の跡が消えずに細かく浅いシワとなって肌に残ります。
一方、線維芽細胞膜に存在するヒアルロン酸合成酵素(HAS)によりヒアルロン酸が合成され、細胞外に分泌されます。真皮には2種類のHAS(HAS1・HAS2)が存在し、表皮幹細胞膜に存在するHAS3よりも高分子のヒアルロン酸を産生します。真皮ヒアルロン酸は真皮中の水分を保持し、肌にハリを与えシワの形成を抑えます。
これらのことから、”四万十ぶしゅかんヘスペリジン”にはヒアルロン酸保護と産生の両方の機能が期待できます。


7. 四万十ぶしゅかんヘスペリジンの抗酸化作用

<試験方法>
ラジカル消去試験:DPPHラジカルの消去能を測定
過酸化脂質生成抑制試験:リノール酸が酸化してできる共役ジエンを測定
試験濃度:500μg/mL

<結果と考察>
四万十ぶしゅかんヘスペリジンは、ラジカル消去活性と過酸化脂質生成抑制効果を示しました。ヘスペリジンは皮膚の浅層で、浸透型ヘスペリジン(ヘスペレチン)は皮膚の深層へと浸透し、紫外線暴露により生じるROSを消去することにより光老化抑制効果を発揮します。強い抗酸化力、すなわち還元力はメラニン色素を還元状態にして色を薄くする効果が期待できます。また、過酸化脂質の生成を抑制することにより、過脂化メラニンの産生を抑え、皮膚のターンオーバーを正常化することによる、美白効果も期待できます。


8. 四万十ぶしゅかんヘスペリジンのW美白効果 -まとめ-

”四万十ぶしゅかんヘスペリジン”には2種のヘスペリジンが含まれています。それは、配糖体であるヘスペリジンと、ヘスペリジンのアグリコンである高浸透型ヘスペリジン(ヘスペレチン)です。通常のヘスペリジンは角層の浅層に浸透し、ROSの消去やその還元力によるメラニンの還元美白作用を発揮します。
一方、高浸透型ヘスペリジンは肌の奥へと浸透し、角化細胞や色素細胞に働きかけ、微弱炎症、メラニン産生刺激、メラニン移送をそれぞれ抑制することによる美白作用を発揮します。
すなわち、”四万十ぶしゅかんヘスペリジン”は肌全体においてW美白効果が期待できる原料であるといえます。


9. 製品情報

原料情報
・四万十ぶしゅかん株式会社で製造される果汁の搾汁残渣を活用
・表示名称:シトルスインフラタ果皮エキス
・INCI名: CITRUS INFLATA PEEL EXTRACT ※新規取得
・中文名称:なし

安全性情報
・24時間閉塞パッチテスト:刺激性なし
・SIRC細胞を用いた眼刺激性試験:刺激性なし
・ROSアッセイによる光毒性試験:陰性


10. ふるさと元気プロジェクト(FGP)

FGPの目指す化粧品のバリューチェーン

 地域農産品(一次産品)のもつ固有の価値(バリュー)に
  ①化粧品OEM会社の有する技術力
  ②化粧品販売メーカーの企画販売力
  ③消費者の評価
 などが加わることにより、一次産品の価値が連鎖的に高まります。
 消費者は化粧品製品と産地に共感を覚え、
 産地への共感は、SNSによる拡散、一次産品の購買行動、観光など、地域振興へとつながります。
 化粧品により「四万十ぶしゅかん」に付与された新しいバリューが、生産者にフィードバックされます。



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