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本わさびの根発酵エキス

 
世界農業遺産の有東木の本わさびと乳酸菌発酵の力
  ~ 本わさびの根発酵エキス ~2019.04.23

世界農業遺産に認定された伝統野菜である静岡県有東木の本わさび
それを植物性乳酸菌で発酵させて有効性を引き出したエイジングケア原料


1. 本わさびとは

■わさび(山葵)
アブラナ科ワサビ属、学名「Eutrema japonicum」
漢字表記の「山葵(やまあおい)」は、葉が葵に似ていることに由来します。
安価に流通している西洋わさびと区別するために、日本原産のわさびを本わさびと呼びます。
抗菌や抗がん効果をもつイソチオシアネートを含有することも知られています。

■産地
2018年3月に静岡県のわさび栽培が、世界農業遺産に認定されました。
本原料に使用している、有東木(うとうぎ)産わさびは「日本三大わさび」の一つです。
  (他は、島根県の匹見わさび、長野県の安曇野わさび)
伝統農法による無農薬栽培で、風味が強く高品質です。
わさび栽培は慶長(1600年頃)に現在の葵区有東木が発祥とされ、
徳川家康が「天下の珍味」と賞賛したといわれています。


2. 世界農業遺産(世界重要農業資産システム)

世界的に重要かつ伝統的な農林水産業を営む地域を国際連合食糧農業機関(FAO)が認定する制度で、2002年より開始
 ・認定地域数は世界で19カ国50地域(2018年4月時点)
 ・国内の認定地域は11地域
※「日本農業遺産」は我が国独自の制度です。

出典:農林水産省Webサイト(http://www.maff.go.jp/j/nousin/kantai/giahs_1_1.html) 


3. 乳酸菌発酵により本わさび根の力を引き出す

原材料(植物)を乳酸菌発酵させると、乳酸菌の増殖・代謝によりアミノ酸や乳酸などの有機酸が生成し、化粧品原料の性能を高めることができます。

当社では、「人と地球をもっと綺麗に、ずっと綺麗に」をミッションに、
      植物を独特に活用した化粧品の製品開発
を行っています。

今回、日本の伝統食品である本わさびの根の新たな価値を引き出すため、乳酸菌発酵を行いました。
わさび根に含まれる糖質により乳酸菌の増殖と代謝が促されます。

乳酸菌発酵により、未処理ではほとんど含まれていなかった乳酸が大きく増加しました(LC-MS分析)。
乳酸は肌を弱酸性に保ち、肌のターンオーバー改善や皮膚有害細菌の繁殖抑制などの効果が期待できる成分です。
さらに乳酸菌発酵後のエキスでは、アルギニン代謝により生成したと思われるオルニチンが増加していました。
オルニチンは、プロリン生成にともなうコラーゲン合成促進作用が期待できる成分です。


4. 本わさび根に含まれるイソチオシアネート

本わさびの根発酵エキスは、比較品として調製した市販西洋わさびの発酵エキスでは検出されないイソチオシアネートを含有しています。
なかでも6-MSITCは本わさびに特徴的な成分で、テレビ番組でも取り上げられている注目の成分です。
イソチオシアネートはアブラナ科植物に特徴的な二次代謝産物であるカラシ油配糖体(グルコシノレート)の基本骨格となる成分です。
ブロッコリースプラウトで有名なスルフォラファンと同じ仲間です。
皮膚の解毒酵素を活性化し、紫外線やストレスから皮膚を保護する効果が期待できます。


5. 有効性情報と期待される効果

 

有効性情報
・過酸化脂質生成抑制
・コラーゲン産生促進      
・抗炎症1)
・抗アレルギー2)
・メラニン産生抑制3)
 

期待される効果
・抗酸化
・抗光老化      
・しわたるみ改善
・美白
・抗掻痒
 

1) Uto T et al. Molecular mechanisms underlying anti-inflammatory actions of 6-(methylsulfinyl)hexyl isothiocyanate derived from Wasabi (Wasabia japonica). Adv Pharmacol Sci. (2012)
2) Yamada-Kato T et al. Inhibitory effects of wasabi isothiocyanates on chemical mediator release in RBL-2H3 rat basophilic leukemia cells. J Nutr Sci Vitaminol (Tokyo). 58 303-7 (2012)
3) Shirasugi I et al. Sulforaphane inhibited melanin synthesis by regulating tyrosinase gene expression in B16 mouse melanoma cells. Biosci Biotechnol Biochem. 74 579-82 (2010)
 


6. 本わさびの根発酵エキスのコラーゲン産生促進作用 -真皮線維芽細胞-

<試験方法>
真皮線維芽細胞を24時間培養。その後、本わさびの根発酵エキス含有DMEMを加え24時間培養。ELISAで定量
試験濃度:1, 10, 100 μg/mL

<結果と考察>
本わさびの根発酵エキスは線維芽細胞のコラーゲン産生量を増加させました。
真皮の乾燥重量の約70%はコラーゲンであり、これは真皮中に存在している線維芽細胞により合成されています。
力学的な強度と若干の弾力性により、肌に弾力やハリを与えています。
本わさびの根発酵エキスには、皮膚のしわ・たるみの改善効果が期待できます。


7. 本わさびの根発酵エキスの抗酸化作用

<試験方法>
過酸化脂質生成抑制試験:リノール酸が酸化してできる共役ジエンを測定
試験濃度:1μg/mL

<結果と考察>
本わさびの根発酵エキスは、過酸化脂質生成抑制作用を示しました。
抗酸化成分が皮脂の酸化を抑制することにより、皮膚のターンオーバーが正常化されます。また、皮膚へと浸透して紫外線暴露により生じるROSを消去することにより光老化抑制効果が期待できます。


8. 製品情報

原料情報
・静岡県産の本わさびの根
・表示名称:乳酸桿菌/ワサビ根発酵エキス
・INCI名: LACTOBACILLUS/WASABIA JAPONICA ROOT FERMENT EXTRACT
・中文名称:乳酸杆菌/山嵛菜(WASABIA JAPONICA)根发酵产物提取物

安全性情報
・24時間閉塞パッチテスト:刺激性なし
・SIRC細胞を用いた眼刺激性試験:刺激性なし
・ROSアッセイによる光毒性試験:陰性



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