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北限茶実の洗浄エキス

 
ふるさと元気プロジェクト [医薬部外品表示名称:チャ実エキス]
茶の木の有効成分の宝庫「猿島の茶の実」  
 ~ 北限茶実の洗浄エキス ~2019.05.15

✔ 茨城県猿島(さしま)の地域活性化のために放置茶園を茶実園として活用
✔ 茶実には茶の木の生命力が凝縮
✔ 酸化・糖化から肌を守り
 豊富なサポニンが古い角層を除去して肌のくすみ・透明感を改善

FGP: ふるさと元気プロジェクト


1. 茶実とは

ツバキ科ツバキ属のチャノキの種子、学名「Camellia sinensis (L.) Kuntze」

茶実(ちゃじつ)は茶の木になる種子のことです。茶の木は9~10月に白い花を咲かせた後に、約1年2ヶ月かけて実をつけます。この長い期間に次世代へ子孫を残すための栄養が茶実にたっぷりと詰められます。古くから茶の木は、葉を緑茶に加工するだけでなく、その実から油を採り、食用や洗髪にも利用されてきました。
茶実は生薬でもあり、やけど・しもやけ等の治療薬としても使われ、また肌をうるおす効果が高く、皮膚保護作用があるとされてきました。実際、オレイン酸やリノレン酸をはじめ、カテキンやビタミンなどの有用成分が含まれています。また特徴的なのがサポニンという成分で、茶葉の50倍、サボンソウ(サポニンを含む代表的な植物)の2倍多く含まれています。この茶実サポニンには抗炎症作用や抗菌作用があることが知られています。茶実の粉末は石鹸のスクラブ剤としても利用できます。
しかし茶実は希少なため、一般には入手が困難です。現在の国内茶園ではあえて実をつけないように栽培されます。茶の木は土壌の栄養状態によって新芽を茶葉へ成長させるか花をつけるかを決めます。土壌の栄養が豊富であると茶の木は茶葉を成長させるため、肥料を与える茶園ではほとんど花が咲きません。さらに、花をつけたとしても茶葉の成長を均一に管理するため茶の木は刈り揃えられてしまいます。したがって良質な茶葉と茶実の栽培を一つの場所で行うことは困難であるため、国産の茶実は希少な存在になっています。

猿島の茶実
木が寒さに弱いため静岡県以西の比較的暖かい場所で作られることが多いお茶ですが、新潟県村上市と茨城県久慈郡太子町を結んだ線付近が、「経済的流通のある栽培地」の北限とされています。
関東の隠れたお茶の名産地である茨城県猿島郡は濃厚な猿島茶の産地として知られ、北限に位置する産地です。猿島は寒いため、茶葉が伸びる速度は遅く、その分、厚みのある葉になります。これによってコクのある深い味わいのお茶が実現します。江戸時代には、猿島茶は江戸の茶商に高く評価され、「江戸の花」という商品名で人気を博していました。その猿島郡境町では茶の葉だけでなく、茶の実を使った取り組みも盛んに行われています。
野口徳太郎商店は創業明治7年以来、140年以上伝統の茶の味を守り続けています。同商店は茶の種専用の農園をもち、社長の野口富太郎さんは日々ここで茶の種子の研究を重ねています。
新芽のできる時期に栄養を与えずに過酷な環境で花を作ったものは、子孫を残そうと種をつくります。また、茶の木は自分では受粉できないため、種子をつくるためには蜂などの虫の手助けが必要です。そのため、無農薬栽培にもこだわっています。

茶実の搾油残渣を活用
野口徳太郎商店では、猿島で年々増える放置茶園を茶の実専用の茶園として活用し、茶実油を搾り地域活性化を図っています。このとき搾油滓が大量に発生しますが、上述のとおりここには有効成分が豊富に含まれています。当社では、茶実の搾油滓を化粧品原料として有効活用し、地域活性化にも貢献していきたいと考えています。


2. 有効性情報と期待される効果

 

有効性情報
・サポニン含有
・ラジカル消去
・界面活性
・糖化タンパク質生成抑制
・抗菌1)
 

期待される効果
・抗酸化
・抗光老化
・ピーリング
・くすみ改善
・透明感
 

【参考文献】
1) Khan MI. et al. Evid Based Complement Alternat Med. (2018)
 Green tea seed isolated saponin exerts antibacterial effects against various strains of gram positive and gram negative bacteria, a comprehensive study in vitro and in vivo.
 


3. 茶実エキスに含まれるサポニン

茶実エキスに含まれるサポニンをTLCで分析しました。
レーン①の茶実抽出物(搾油滓)に豊富に含まれているサポニンは、本原料である②茶実エキスにも検出されました。比較品として分析した緑茶抽出物には、サポニンと同じ位置にフラボノイドが検出されましたが、呈色からサポニンは微量であることが分かりました。
<レーン説明>
①茶実抽出物
②茶実エキス調製物(本原料)
③緑茶抽出物

茶の木栽培の北限である猿島の茶実から作られた、洗浄成分サポニンを豊富に含むエキスとして、本原料を「北限茶実の洗浄エキス」と名付けました。


4. 茶実エキスの角質洗浄作用

<試験方法>
茶実エキスを肌表面に塗布した後、水で軽く流してから乾燥後、テープストリッピングにより角層を採取。角層をスライドガラスに転写して染色後、顕微鏡で角質の状態を観察

<結果と考察>
図の青い断片は蓄積した古い角質細胞です。茶実エキスを塗布した肌にはこの断片が少ないことから、茶実エキスは古い角質を落としやすくすることが確認されました。これはエキス中に含有するサポニンの効果と考えられます。肌表面に余分な古い角質がたまると、肌の透明感が失われ、くすみの原因となります。


5. 茶実エキスの抗酸化作用

<試験方法>
ラジカル消去試験:DPPHラジカルの消去能を測定
試験濃度:50, 100, 150μg/mL

<結果と考察>
茶実エキスは、濃度依存的にラジカル消去活性を示しました。酸化はコラーゲンの分解や架橋形成、炎症反応にもつながり、しわ、たるみ、しみの原因となり、皮膚老化の一番の原因とも言われています。DPPHラジカルの消去作用によって抗酸化活性の指標とすることができます。茶実エキスは紫外線暴露により生じるROSを消去することにより光老化抑制効果が期待できます。


6. 茶実エキスの抗糖化作用 -in vitro-

<試験方法>
D-グルコース、アルブミンおよび検体溶液を60℃、48時間で反応させた後、蛍光強度を測定
試験濃度:茶実エキス 70μg/mL、αリポ酸 7ug/mL

<結果と考察>
茶実エキスは糖化タンパク質生成抑制作用を示し、1/10濃度の陽性対照試薬であるαリポ酸と同等の活性でした。
タンパク質の糖化は終末糖化産物(Advanced Glycation End products: AGEs)の生成へと至り、皮膚へのAGEs蓄積は肌の透明感を低下させたり、しわやたるみの原因となることが分かっています。
皮膚の糖化は、皮膚老化原因の3割を占めているともいわれています。


7. 製品情報

原料情報
・茨城県猿島産の無農薬の茶実を使用
・表示名称:チャ実エキス
・INCI名: CAMELLIA SINENSIS SEED EXTRACT
・中文名称:茶(CAMELLIA SINENSIS)籽提取物 

安全性情報
・ROSアッセイによる光毒性試験:陰性


8. ふるさと元気プロジェクト(FGP)

FGPの目指す化粧品のバリューチェーン

茶の木の栄養分を豊富に含む茶実は茶実油などの食品に加工されています。そのときの副産物を化粧品用の素材として有効活用しています。

このような、地域農産品(一次産品)のもつ固有の価値(バリュー)に
  ①化粧品OEM会社の有する技術力
  ②化粧品販売メーカーの企画販売力
  ③消費者の評価
 などが加わることにより、一次産品の価値が連鎖的に高まります。
 消費者は、化粧品製品と産地に共感を覚え、
 産地への共感は、SNSによる拡散、一次産品の購買行動、観光など、地域振興へとつながります。
 化粧品により「茨城県猿島の茶実」に付与された新しいバリューが、生産者にフィードバックされます。



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