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早摘みかん果皮エキス

 
ふるさと元気プロジェクト [医薬部外品表示名称:チンピエキス]
独自農法による大三島の温州みかん
 ~早摘みかん果皮エキス~2019.05.20

最高のみかん栽培適地である愛媛県大三島のみかん園
難しい無農薬・有機栽培の“草生栽培”に取り組むエコファーマー
有効成分が豊富な摘果した温州みかんの果皮を有効活用
多種の柑橘フラボノイドをバランスよく含む保湿エイジングケア原料

FGP: ふるさと元気プロジェクト


1. 早摘みかんとは

温州みかん
ミカン科ミカン属、学名「Citrus unshiu」
「蜜のように甘い柑橘」から「蜜柑」となり、これがなまり「みかん」と呼ばれるようになったとされています。
江戸時代の初期、鹿児島県北西部の長島で、中国産のみかんの突然変異による偶発実生から発見され※、当時は長島みかんと呼ばれていた日本原産のみかんです。当時は紀州みかんが全盛でしたが、江戸中期に長島みかんは「温州みかん」と命名され市場に出始めました。明治時代以降、品種改良も進み、国内最大の栽培品種にまで成長しました。
※温州みかんの親品種はDNA鑑定から紀州みかんとクネンボであると考えられています。

ビタミン類やポリフェノールが豊富で、風邪の特効薬として昔から用いられてきました。食欲増進や便秘改善などの薬効もあります。温州みかんの果皮は陳皮として生薬に用いられてきました。漢方古書によると、皮をお風呂に入れることで身体をあたためるという薬効が知られています。皮には美肌をつくりだす効果がいくつも知られており、実を食べるだけでなく皮を肌へ使うことで余すことなく利用できます。青果の果皮から作るものを「青皮」とよびます。

早摘みかん
みかん果実の成長は品種によって様々ですが、6月から10月にかけて毎日少しずつ大きくなります。この時期に極端に大きな果実や小さな果実を落とすことを摘果といい、果実の品質をそろえたり、みかんの木への負担を軽くする役割があります。この摘果の早摘みかんを化粧品原料として有効活用しようと考えました。
しかし、最近のみかん果皮には農薬などの心配があり、多くの人が皮を使うことに抵抗を感じています。
「早摘みかん果皮エキス」では、無農薬・有機栽培で育てた愛媛県大三島産の温州みかんを使用しているため、安心して化粧品へ利用できます。また、ヘスペリジンなどの有効成分の含有量が多いとされる青い未熟果実を使用しているためその効果が期待できます。

生産者
山﨑学さん、知子さん夫妻は、Iターンで大三島みかん園に新規就農した当初から柑橘類の無農薬栽培に取り組み、柑橘類のリキュールや菓子類などの販売を行うLimone(リモーネ)を運営しています。有機JAS認証を取得しており、「自然そのままに」を理念とするエコファーマーです。
平成30年7月豪雨により、ネーブルや八朔などの一部の園地が流されて大きな被害を受けましたが、復興に向けて前進しているところです。


2. 早摘みかん果皮エキスに含まれるフラボノイドの分析 -LCMS-

早摘みかん(温州みかん)果皮のポリフェノールをシークワーサー果皮とポンカン果皮と比較しました。香酸柑橘であるシークワーサー果皮のポリフェノールとしては、主にノビレチンやタンゲレチンといったポリメトキシフラボン類(PMF)が検出されました。温州みかんと同じミカン区に属するポンカンの果皮にも高濃度のPMFが含まれますが、保持時間10分前後にフラバノン類も検出されています。早摘みかん果皮エキスには、PMFの他、ナリルチンやヘスペリジンなどのフラバノン類も豊富に含まれており、フラボンとフラバノンがバランスよく含まれていることが示されました。また、他の柑橘のPMFではあまり見られないヘプタメトキシフラボン(HMF)も多く含まれ、これは早摘みかん果皮エキスに特長的な有効成分の一つとなっています。HMFは温州みかんの他、伊予柑、バレンシアオレンジ、八朔、カボスなど一部の柑橘類の果皮に存在することが知られています。
HMFは基本的にPMFと同等の生理活性をもつと考えられますが、HMFに特長的な機能も報告されています。
HMFはUVが惹起するMMP1の発現に関わる諸因子を阻害し、さらにプロコラーゲン合成を誘導することが報告されています1)。
また、皮膚がんモデルを用いた試験において、HMFはノビレチンよりも強い抗腫瘍活性を示したと報告されています2)。

PMFは食品業界ではすでに注目を集めている成分で、血糖値抑制作用や抗アレルギー作用、神経細胞を活性化させることによる抗認知症効果などがあるとされています。

HMFを含むPMFは、複数のメトキシ基をもつため脂溶性が高いことから、フラボノイドのなかでもとくに経皮吸収性に優れる高浸透型フラボンです。

【参考文献】
1) Kim Hi. et al. Int J Mol Sci. 19 (2018)
3,5,6,7,8,3′,4′-Heptamethoxyflavone, a citrus flavonoid, inhibits collagenase activity and induces type I procollagen synthesis in HDFn cells.
2) Iwase Y. et al. Cancer Lett. 163 7-9 (2001)
Cancer chemopreventive activity of 3,5,6,7,8,3′,4′-heptamethoxyflavone from the peel of citrus plants.

早摘みかん果皮エキスに含まれる主なフラボノイドの種類と構造 


3. 有効性情報と期待される効果

 

有効性情報
・ラジカル消去
・線維芽細胞賦活
・コラーゲン産生促進
・コラーゲン分解抑制3)
・炎症関連因子抑制4,5)
・チロシナーゼ阻害
・メラニン産生関連因子抑制6,7)
 

期待される効果
・抗酸化
・抗光老化
・抗老化
・しわたるみ改善
・抗炎症
・美白
 

【参考文献】
3) Kim JJ et al. Biol Pharm Bull. 37 158-63 (2014)
 Nobiletin suppresses MMP-9 expression through modulation of p38 MAPK activity in human dermal fibroblasts.
4) Tanaka S et al. Biochem Pharmacol. 68 433-9 (2004)
 Prevention of UVB-induced photoinflammation and photoaging by a polymethoxy flavonoid, nobiletin, in human keratinocytes in vivo and in vitro.
5) Jang SE et al. Int Immunopharmacol. 17 502-7 (2013)
 Nobiletin and tangeretin ameliorate scratching behavior in mice by inhibiting the action of histamine and the activation of NF-κB, AP-1 and p38.
6) Kim HJ et al. Photochem Photobiol. 91 379-86 (2015)
 Nobiletin, a polymethoxy flavonoid, reduced endothelin-1 plus SCF-induced pigmentation in human melanocytes.
7) Yoshizaki N et al. J Dermatol Sci. 88 78-84 (2017)
 A polymethoxyflavone mixture extracted from orange peels, mainly containing nobiletin, 3,3′,4′,5,6,7,8-heptamethoxyflavone and tangeretin, suppresses melanogenesis through the acidification of cell organelles, including melanosomes.
 


4. 早摘みかん果皮エキスの細胞賦活作用 -真皮線維芽細胞-

<試験方法>
真皮線維芽細胞を24時間培養。その後、早摘みかん果皮エキス含有
EMEMを加え48時間培養。細胞数をMTT還元法でカウント
試験濃度:1, 3, 10μg/mL

<結果と考察>
早摘みかん果皮エキスは線維芽細胞を賦活しました。
細胞賦活とは、正常細胞の増殖が活発になることを意味しています。
線維芽細胞は、真皮層においてコラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸を作り出す細胞です。
加齢とともに、細胞の増殖速度が落ち、細胞から作りだされる成分も少なくなってしまいます。
早摘みかん果皮エキスは細胞を元気にし、細胞の物質生産を促進させることにより、しわ・たるみ予防効果が期待できます。


5. 早摘みかん果皮エキスのコラーゲン産生促進作用 -真皮線維芽細胞-

<試験方法>
真皮線維芽細胞を24時間培養。その後、早摘みかん果皮エキス含有
DMEMを加え24時間培養し、ELISAで定量
試験濃度:1, 100μg/mL

<結果と考察>
早摘みかん果皮エキスは、真皮線維芽細胞においてコラーゲン産生量を増加させました。
真皮の乾燥重量の約70%はコラーゲンであり、これは真皮中に存在している線維芽細胞により合成されています。力学的な強度と若干の弾力性により、肌に弾力やハリを与えています。
早摘みかん果皮エキスには、コラーゲン合成を活性化させることによる、皮膚のしわ・たるみの改善効果が期待できます。


6. 早摘みかん果皮エキスの美白作用 -in vitro-

<試験方法>
チロシナーゼ活性阻害試験:メラニン合成酵素チロシナーゼに対する阻害効果を、ドーパからドーパクロームの酵素生成物の量で測定
試験濃度:0.625, 1.25, 2.5 mg/mL

<結果と考察>
早摘みかん果皮エキスはチロシナーゼ活性を阻害しました。
チロシナーゼはメラニン産生に必須の酵素です。紫外線などの影響で活性化し、色素細胞中でチロシンというアミノ酸から段階を経てメラニンになる際に作用します。シミなど色素沈着のある肌で活性化しています。


7. 早摘みかん果皮エキスの保湿作用 -ヒト表皮角化細胞-

<試験方法>
ヒト表皮角化細胞を24時間培養。その後、早摘みかん果皮エキス含有DMEMを加え48時間培養し、RNA抽出よびcDNA合成。cDNAを用いてRT-qPCR。試験濃度: 1, 10, 100μg/mL

<遺伝子の特徴>
TGM(Transglutaminase: トランスグルタミナーゼ)
肌のバリア機能に関わる「コーニファイドエンベロープ(Cornified envelope:CE)」の形成や成熟促進をする酵素。湿度が高い環境で活性が高まり、成熟したCEを生成します。CEの成熟は、肌のバリア機能や水分保持能の維持・向上に繋がります。
GBA(β-glucocerebrosidase: β-グルコセレブロシダーゼ)
セラミドの前駆体であるグルコシルセラミドからセラミド(セラミドEOPなど)を産生する酵素。表皮細胞で産生され、外的刺激から守るバリア機能を担っています。加齢などによりセラミドが減少すると乾燥の原因となります。
SMPD(Sphingomyelin phosphodiesterase: スフィンゴミエリナーゼ)
セラミドの前駆体の一つであるスフィンゴミエリンからセラミド(セラミドNS、セラミドASなど)を産生する酵素。表皮細胞で産生され、肌の水分保持を担っています。作り出されるセラミド量が増えることで肌のバリア機能や水分保持力が向上します。

<結果と考察>
早摘みかん果皮エキスはヒト表皮角化細胞において、保湿に関わる重要遺伝子であるTGM、GBAおよびSMPDの発現量を促進させました。
セラミドは肌の3大保湿因子の一つです。また、セラミドとコーニファイドエンベロープは角層を強固なものとし、バリア機能の維持にも大きく関わります。
早摘みかん果皮エキスは、保湿機能とバリア機能の両方の改善効果が期待できます。


8. 早摘みかん果皮エキスの抗酸化作用

<試験方法>
ラジカル消去試験:DPPHラジカルの消去能を測定 
試験濃度:1, 100μg/mL

<結果と考察>
早摘みかん果皮エキスはラジカル消去活性を示しました。酸化はコラーゲンの分解や架橋形成、炎症反応にもつながり、しわ、たるみ、しみの原因となり、皮膚老化の一番の原因とも言われています。DPPHラジカルの消去作用によって抗酸化活性の指標とすることができます。早摘みかん果皮エキスは紫外線暴露により生じるROSを消去することにより光老化抑制効果が期待できます。


9. 製品情報

原料情報
・愛媛県大三島の有機JAS認証温州みかんの摘果を使用
・表示名称:ウンシュウミカン果皮エキス
・INCI名: CITRUS UNSHIU PEEL EXTRACT
・中文名称:温州蜜柑(CITRUS UNSHIU)果皮提取物

安全性情報
・24時間閉塞パッチテスト:刺激性なし
・SIRC細胞を用いた眼刺激性試験:刺激性なし
・ROSアッセイによる光毒性試験:陰性


10. ふるさと元気プロジェクト(FGP)

FGPの目指す化粧品のバリューチェーン

地域農産品(一次産品)のもつ固有の価値(バリュー)に
  ①化粧品OEM会社の有する技術力
  ②化粧品販売メーカーの企画販売力
  ③消費者の評価 
 などが加わることにより、一次産品の価値が連鎖的に高まります。
 消費者は、化粧品製品と産地に共感を覚え、
 産地への共感は、SNSによる拡散、一次産品の購買行動、観光など、地域振興へとつながります。
 化粧品により「大三島の温州みかん」に付与された新しいバリューが、生産者と地域にフィードバックされます。



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