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あおもりカシスエキス

 
自然のままの本物のカシス
FGP  ~あおもりカシスエキス~2019.05.28

青森の冷涼な気候に適したあおもりカシス
長年地域で育まれた生産方法と高い品質などから「地理的表示保護制度(GI)」第1号に登録
高含有アントシアニンが活性酸素を消去
ヒアルロン酸・コラーゲン・エラスチンを保護して皮膚老化を抑制

FGP: ふるさと元気プロジェクト


1. あおもりカシスとは

スグリ科スグリ属、学名「Ribes nigrum」、和名クロスグリ、英名Black currant(ブラックカラント)、仏名Cassis(カシス)
ユーラシアに広く分布する高さ1.8m程度の植物で、その果実はゼリー、ジャム、アイスクリーム、リキュールなどとして世界中で利用されています。

あおもりカシスの会
あおもりカシスの会は、1985年(昭和60年)に組織された青森市を中心とした会員約140名で活動する生産者団体です。青森県におけるカシスの生産、加工、販売に関する普及活動を推進するとともに、カシス製品開発による生産者の所得の向上と地域経済の活性化に資することを目的に設立されました。

1.あおもりカシスのルーツ
弘前大学の教授がドイツから取り寄せた苗木が、昭和50年代に入り青森市へと渡ったのがカシス栽培の始まりです。ドイツから青森市へもたらされたカシスは、現在に至るまで品種改良など人の手が加えられていないため、本来のカシスの姿と爽やかな甘酸っぱい風味を今に引き継いでいるとされています。

2.カシスの生育に適した気候
青森市の夏季冷涼な気候に適したあおもりカシスは、厳しい冬の寒さや雪にも耐え、しっかりとこの地に根付き、「自然のままの本物のカシス」と呼ばれています。また、冷涼な気候であるため、病害虫の発生が抑えられ、原則として農薬を使用せずに栽培されています。

3.カシスの豊富な有効成分
カシスの皮は黒に近い濃紫色で、ビタミンCの他、ポリフェノールであるアントシアニンが豊富に含まれています。カシスアントシアニンには、デルフィニジン-3-ルチノシド、デルフィニジン-3-グルコシド、シアニジン-3-ルチノシド、シアニジン-3-グルコシドの4種類が知られています。なかでも、ルチノース配糖体は他のベリー類には見られないカシス特有の成分です。また、あおもりカシスは果皮が厚く小粒である特徴から、果皮成分であるアントシアニンがあおもりカシスには多いことも知られています。

4.手間
あおもりカシスの収穫は、小さな実を傷つけないように丁寧に手摘みで行なわれています。このような手摘みでの収穫作業では、熟練した生産者でも1時間にわずか1.5kg程度しか収穫できません。冷涼な気候を活かして青森県が日本一のカシス産地になっており、国内生産は東北地域で8割近くを占めています。しかし現状では、国産カシスの多くが加工特産品の原料としての地場消費にとどまっており、知名度向上や全国への一般流通には課題が残っています。
※農林水産省統計「平成23年産特産果樹生産動態等調査」より

参考:あおもりカシスの会事務局作成「あおもりカシス」販促パンフレット(平成27年5月)


2. 有効性情報と期待される効果

 

有効性情報
・ラジカル消去
・スーパーオキシド消去
・老化関連遺伝子発現調節
・収れん作用
・チロシナーゼ阻害
・糖化タンパク質生成抑制
・脂質酸化防止1)
・NF-κB抑制2)
 

期待される効果
・抗酸化
・抗光老化
・しわたるみ改善
・毛穴改善
・美白
・くすみ改善
・抗炎症
 

【参考文献】
1) C.E. Lister et al. Understanding the health benefits of blackcurrants. (2002)
2) Karlsen A. et al. American Society for Nutrition. 7 (2007)
Anthocyanins inhibit nuclear factor-kB activation in monocytes and reduce plasma concentrations of pro-inflammatory mediators in healthy adults.
 


3. あおもりカシスエキスの抗酸化作用

<試験方法>
ラジカル消去試験:DPPHラジカルの消去能を測定 
スーパーオキシド消去試験:キサンチン/キサンチンオキシダーゼ系により生じるO2-を測定
試験濃度:10, 100μg/mL

<結果と考察>
あおもりカシスエキスはラジカル消去活性とスーパーオキシド消去活性を示しました。
酸化はコラーゲンの分解や架橋形成、炎症反応にもつながり、しわ、たるみ、しみの原因となり、皮膚老化の一番の原因とも言われています。DPPHラジカルの消去作用によって抗酸化活性の指標とすることができます。あおもりカシスエキスは紫外線暴露により生じるROSを消去することにより光老化抑制効果が期待できます。

<結果と考察>
あおもりカシスエキスのラジカル消去活性を同じエキス濃度の中国産エキスと比較しました。あおもりカシスエキスは濃度依存的にラジカル消去活性を示し、各濃度において中国産エキスよりも高い活性をもつことが分かりました。供試した検体はいずれも同一固形分濃度であことから、あおもりカシスエキス中の抗酸化成分の割合が高いことが考えられます。
(試験濃度:0.02%, 0.03%, 0.06%, 0.13%)


4. あおもりカシスエキスの抗老化作用 -真皮線維芽細胞-

<試験方法>
真皮線維芽細胞を24時間培養。その後、あおもりカシスエキス含有DMEMを加え24時間培養し、RNA抽出よびcDNA合成。cDNAを用いてRT-qPCR
試験濃度:1, 100μg/mL

<遺伝子の特徴>
ヒアルロン酸合成酵素-1(Hyaluronan synthase-1: HAS1)
真皮でのヒアルロン酸合成を担う酵素。真皮に存在する線維芽細胞に発現し、高分子のヒアルロン酸を作り出します。HAS1はHAS2よりも高分子のヒアルロン酸を産生します。ヒアルロン酸は肌の水分保持に関与し、肌にハリを与えてシワを防ぎます。
エラスチン(Elastin: ELN)
肌の弾力を維持するために重要なタンパク質。コラーゲンと共に肌のハリの維持に関与します。真皮に存在する線維芽細胞から産生され、紫外線や加齢などにより減少・変質するとハリ低下やシワの原因となります。
マトリックスメタロプロテアーゼ-1(Matrix metalloproteinase-1: MMP-1)
肌に弾力性を与えてくれるコラーゲンを分解する酵素。紫外線により増加し、コラーゲンの分解を促進させます。また加齢や炎症によっても多く作られ、シワの形成やハリの低下に繋がります。
中性エンドペプチダーゼ(Neutral endopeptidase: NEP)
ハリや弾力があり、シワができにくい肌の維持に必要不可欠な成分「エラスチン」を分解する酵素。紫外線に晒された真皮線維芽細胞で増加し、エラスチンを分解してしまいます。紫外線に関係深い光老化によるハリや弾力の低下、シワ形成に関与します。

<結果と考察>
あおもりカシスエキスはHAS1とELN遺伝子の発現を促進し、MMP1とNEP遺伝子の発現を抑制しました。
ELNとNEPはそれぞれエラスチンの産生と分解に関与する遺伝子で、あおもりカシスエキスはエラスチンの産生と保護の両面に作用すると考えられます。エラスチン線維はコラーゲンを支えるように存在し、肌に弾力やしなやかさを与え、シワのできにくい肌を保ちます。さらに、あおもりカシスエキスは、コラーゲンを保護し真皮ヒアルロン酸を増加させることにより、肌に潤いとハリを与えて若々しい肌を保つ効果が期待できます。


5. あおもりカシスエキスの収れん作用

<試験方法>
タンパク質収れん試験:アルブミン水溶液にエキスを添加してインキュベートし、タンパク質の変性・凝集により生じる濁度をOD650で測定
試験濃度:0.9mg/mL

<結果と考察>
あおもりカシスエキスは水溶液中で可溶化しているアルブミンを凝集させ、濁りを生じさせました(収れん作用)。しかし、同じエキス濃度の中国産エキスではほとんど収れん作用は観察されませんでした。収れん作用には、肌と毛穴を引き締める効果があります。


6. あおもりカシスエキスの美白作用 -in vitro-

<試験方法>
チロシナーゼ活性阻害試験:メラニン合成酵素チロシナーゼに対する阻害効果を、ドーパからドーパクロームの酵素生成物の量で測定
試験濃度:50, 100, 200μg/mL

<結果と考察>
あおもりカシスエキスはチロシナーゼ活性を阻害しました。
チロシナーゼはメラニン産生に必須の酵素です。紫外線などの影響で活性化し、色素細胞中でチロシンというアミノ酸から段階を経てメラニンになる際に作用します。シミなど色素沈着のある肌で活性化しています。


7. あおもりカシスエキスの抗糖化作用 -in vitro-

<試験方法>
アルブミン溶液に検体溶液を添加し60℃、48時間インキュベート
試験濃度:70, 700μg/mL

<結果と考察>
あおもりカシスエキスは糖化タンパク質生成抑制作用を示しました。
タンパク質の糖化は終末糖化産物(Advanced Glycation Endproducts: AGEs)の生成へと至り、皮膚へのAGEs蓄積は肌の透明感を低下させたり、しわやたるみの原因となることが分かっています。皮膚の糖化は、皮膚老化の3割を占めているとも言われています。


8. 製品情報

原料情報
・青森県産(あもりカシスの会)のカシス果実を使用
・表示名称:クロフサスグリ果実エキス
・INCI名: RIBES NIGRUM (BLACK CURRANT) FRUIT EXTRACT
・中文名称:黑茶镳子(RIBES NIGRUM)果提取物

安全性情報
・24時間閉塞パッチテスト:刺激性なし
・SIRC細胞を用いた眼刺激性試験:刺激性なし
・ROSアッセイによる光毒性試験:陰性


9. ふるさと元気プロジェクト(FGP)

FGPの目指す化粧品のバリューチェーン

あおもりカシスは、長年のカシス生産に対する独特な取り組みから、平成27年に国の地理的表示保護制度(GI)第1号に登録されました。生産量と販売量が年々拡大している注目の素材です。

このような、地域農産品(一次産品)のもつ固有の価値(バリュー)に
  ①化粧品OEM会社の有する技術力
  ②化粧品販売メーカーの企画販売力
  ③消費者の評価 
 などが加わることにより、一次産品の価値が連鎖的に高まります。
 消費者は、化粧品製品と産地に共感を覚え、
 産地への共感は、SNSによる拡散、一次産品の購買行動、観光など、地域振興へとつながります。
 化粧品により「あおもりカシス」に付与された新しいバリューが、生産者と地域にフィードバックされます。



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