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和栗渋皮エキス

 
和栗プロアントシアニジン3つの力で不快臭ケア
FGP  ~和栗渋皮エキス~2019.05.31

和栗の渋皮には種子を化学的に防御するプロアントシアニジンが蓄積
それが皮膚表層で3つの消臭パワーを発揮
 ①皮脂の酸化防止(臭い成分を発生させない)
 ②肌の収れん(臭い成分を分泌させない)
 ③悪臭成分の消臭(臭い成分を吸収して消し去る)

FGP: ふるさと元気プロジェクト


1. 和栗渋皮とは

栗の特徴
ブナ科クリ属、学名「Castanea crenata」、英名「Japanese chestnut」
栗のイガ(毬)は花全体を包む葉(総苞)が変化した殻斗(かくと)というものです。栗の実は、花の子房が変化した果実です。栗の実の最も外側の鬼皮の部分が果皮で、それより内側が種子です。いわゆる渋皮が種皮で、ブナ科の植物は胚乳がないので渋皮を剥いた中身が胚であり、子葉に栄養分を蓄えています。トゲトゲのイガをものともしない天敵のゾウムシもいますが、栗は多くの虫の攻撃から実を守る構造になっています。

渋皮の有効活用
栗には、ニホングリやヨーロッパグリ、アメリカグリなどのさまざまな種が存在します。洋菓子でよく使われるマロン(marron、フランス語)で、大型のヨーロッパグリ(Castanea sativa)のことで、和栗(ニホングリ)とは異なるものです。日本では、5500年以上前の縄文時代から栗を食べていたといわれ、日本人にとって大切で身近な植物の一つです。
 和栗にもさまざまな品種がありますが、そのなかでも「ぽろたん」という品種に着目しました。これは農研機構果樹研究所が開発した品種で、渋皮が簡単にむける画期的な品種です。早生品種である「丹沢」の子であり、渋皮がポロンとむけることと、広く愛されて欲しいとの願いを込めて「ぽろたん」と命名されたそうです。
その渋味のために除去・廃棄されることが多い栗の渋皮ですが、これを有効利用するため、埼玉県産業技術総合センターと共同研究を行い完成させた機能性原料が「和栗渋皮エキス」です。
 渋皮は、茨城県に次ぐ関東有数の栗生産地である埼玉県日高市のものを使用しています。市内の栗農家有志が「ぽろたん研究会」をつくり、栽培に取り組んでいます。

              渋皮の写真


2. 和栗渋皮エキスに含まれる有効成分

和栗渋皮の総ポリフェノール量は373mg/g。実に渋皮重量の30%以上がポリフェノールであり、そのうちプロアントシアニジンが大部分(350mg/g)を占めています1)。
プロアントシアニジンは植物ポリフェノールの一種で、心疾患やがんの予防作用があるとされ2)、健康食品でも注目の成分です。縮合型タンニンともいわれます。タンニンは柿タンニンが有名ですが、消臭作用があることが分かっています。

栗の種子は虫や動物に捕食されると発芽できなくなってしまうため、鋭い棘と硬い鬼皮による物理的防御に加え、強い渋みをもちカビにも強いプロアントシアニジンの塊である「渋皮」による化学的防御をもち、幾重にも外敵から守られているといえます。

1) 樋口誠一ら 埼玉県産業技術総合センター研究報告第7巻(2009)
2) Prior R L. and Gu L. Phytochemistry 66 (2005)
Occurrence and biological significance of proanthocyanidins in the American diet.


3. 有効性情報と期待される効果

 

有効性情報
・ラジカル消去
・スーパーオキシド消去
・過酸化脂質生成抑制
・過酸化水素消去
・悪臭成分消去
・収れん
 

期待される効果
・抗酸化
・抗光老化
・抗炎症
・毛穴と汗腺引き締め
・加齢臭発生防止
・加齢臭消臭
 

 


4. 和栗渋皮エキスの悪臭成分消去効果

清潔意識の向上や生活様式の変化、住居環境の気密化などにより、身の回りのニオイに対する意識が高まっています。また、不快臭を取り除き生活環境を向上させたいという消費者のニーズから、近年消臭素材や消臭製品が多く発売されています。加齢臭というワードも広く定着し、40代以降の男性においても自身の体臭を心配する人が多くなっています。しかし、体臭、排泄臭、タバコ臭、生ゴミ臭など、ターゲットとなるニオイは多様な成分が混ざった複合臭気であるため、さまざまな種類の悪臭成分に対して消臭効果を発揮する消臭原料が望まれています。
 そこで、生活に関係深い悪臭成分を選別し、個々の臭気に対する和栗渋皮エキスの消臭効果を測定しました。下の表は今回評価した6種の悪臭成分の特徴です。

悪臭成分 汗 臭 加齢臭 排泄臭 タバコ臭 生ごみ臭
酢酸
アンモニア
トリメチルアミン
イソ吉草酸
メチルメルカプタン
アセトアルデヒド

<試験方法>
試料:和栗渋皮エキス2%
①テドラーバッグに設定したガス濃度となるように悪臭物質を添加
②試料を静かに添加
③経過時間ごとにテドラーバッグ内の残存ガス濃度を検知管にて測定
④各時間のブランクと試料添加群のガス濃度(ppm)から消臭率を算出

悪臭成分 酢 酸 アンモニア トリメチル
アミン
イソ吉草酸 メチル
メルカプタン
アセト
アルデヒド
消臭率
(%)
97.4 >98.9 97.7 94.5 30.3 27.5

<結果と考察>
発汗に伴い放散量が増加する酢酸、運動など体を使ったあとに増加する疲労臭であるアンモニア、肉や魚、大豆などの腐敗・消化過程で生じる腐敗臭のトリメチルアミン、足独特の悪臭のもとであるイソ吉草酸。これら4悪臭成分に対して、和栗渋皮エキスは高い消臭効果を示しました。一方、腐ったたまねぎの臭いの硫黄系成分メチルメルカプタンと酒臭さのアセトアルデヒドに対しては、今回の試験条件では30%程度の消臭効果に止まりました。
低分子のアセトアルデヒドに対しては30%弱の消臭効果でしたが、加齢臭の代表的なアルデヒド成分として知られるノネナールに対しては、渋皮エキスで高い消臭効果(1%濃度で50%消臭、2%濃度で70%消臭)が示されています3)。

3) 特開2012-20985「消臭剤」サティス製薬


5. 和栗渋皮エキスの収れん作用

<試験方法>
タンパク質凝集試験:アルブミン水溶液に和栗渋皮エキスを添加してインキュベートし、タンパク質の変性・凝集により生じる濁度をOD650で測定
試験濃度:果実エキス 0.9mg/mL;和栗渋皮エキス 0.45mg/mL

<結果と考察>
和栗渋皮エキスは水溶液中に可溶化しているアルブミンを凝集させ強い濁りを生じさせました(収れん作用)。プロアントシアニジン(おもにプロシアニジン)とは縮合型タンニンのことであり、その収れん作用の高さから、古くから動物の皮の「鞣し」に使用されてきました。収れん作用には毛穴と汗腺を引き締める効果があることから、臭いのもととなる皮脂や汗の分泌を抑え、皮膚ガスの発生を抑えることにより体臭を軽減させる効果も期待できます。


6. 和栗渋皮エキスの抗酸化作用

<試験方法>
ラジカル消去試験:DPPHラジカルの消去能を測定 
過酸化脂質生成抑制試験:リノール酸が酸化してできる共役ジエンを測定
スーパーオキシド消去試験:キサンチン/キサンチンオキシダーゼ系により生じるO2-を測定
過酸化水素消去試験:過酸化水素をペルオキシダーゼ共存下でDA64により測定
試験濃度:0.5, 5, 50μg/mL ※過酸化水素消去試験 500μg/mL

<結果と考察>
和栗渋皮エキスは、ラジカル消去活性、過酸化脂質生成抑制活性、スーパーオキシド消去活性、過酸化水素消去活性を示しました。DPPHラジカルの消去作用によって抗酸化活性の指標とすることができます。和栗渋皮エキスは紫外線暴露により生じるROSを消去することにより光老化抑制効果が期待できます。
さらに、加齢臭の原因成分であるノネナールは皮脂の酸化によって発生することから、和栗渋皮エキスが皮脂の酸化を防ぐことにより、体臭軽減効果も期待できます。


7. 和栗渋皮エキスの抗糖化作用 −in vitro−

<試験方法>
アルブミンに検体溶液を添加し60℃、48時間インキュベート
試験濃度:和栗渋皮エキス 0.35, 3.5, 35μg/mL;αリポ酸 7ug/mL 

<結果と考察>
和栗渋皮エキスは糖化タンパク質生成抑制作用を示しました。これは、2倍濃度の陽性試薬αリポ酸よりも高い活性でした。タンパク質の糖化は終末糖化産物(Advanced Glycation End products: AGEs)の生成へと至り、皮膚へのAGEs蓄積は肌の透明感を低下させたり、しわやたるみの原因となることが分かっています。
皮膚の糖化は、皮膚老化原因の3割を占めているともいわれています。


8. 製品情報

原料情報
・埼玉県日高市産のぽろたんの渋皮を使用
・表示名称:クリ渋皮エキス
・INCI名: CASTANEA CRENATA (CHESTNUT) PELLICLE EXTRACT
・中文名称:あり

安全性情報
・24時間閉塞パッチテスト:刺激性なし
・SIRC細胞を用いた眼刺激性試験:刺激性なし
・ROSアッセイによる光毒性試験:陰性



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