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原木緑茶エキス

 
ふるさと元気プロジェクト [医薬部外品表示名称:チャエキス(1)]
原木の茶だけがもつ自然で強い生命力

 ~原木緑茶エキス~2019.06.26

✔ 一本仕立て栽培が引き出すチャノキの自然の生命力
✔ 虫や病気に負けない強い茶の原木により実現した無農薬・無化学肥料有機栽培
✔ こだわりの茶葉の生命が吹き込まれた抗炎症美白原料

 

1. 期待される効果と有効性情報

有効性情報
・ラジカル消去
・活性酸素消去
・炎症関連遺伝子発現抑制
・ヒアルロニダーゼ阻害
・チロシナーゼ阻害
・糖化タンパク質生成抑制
・抗菌*
 

期待される効果
・抗酸化
・抗光老化
・抗炎症
・美白
・くすみ改善
 

* 戸田真佐子ら 日本細菌学雑誌 45 2 (1990)
 茶カテキン類およびその構造類似物質の抗菌作用ならびに抗毒素作用
 

2. 原木緑茶とは

チャノキ(茶の木)はツバキ科ツバキ属、学名「Camellia sinensis」
茶の栽培では通常は収穫量向上のため密植され、さらに樹高1m以下に刈り込まれますが、野生状態(原木)では2mに達する例もあります。原木の幹は太く、根も地中深くまで張り、大地の栄養をたっぷり吸い上げることができるため、抗酸化力が高いとされています。
 
静岡県藤枝市の葉っピイ向島園(園主:向島和詞さん)は、一本仕立てによる茶の生産に取り組んできました。チャノキの一本仕立ては、細い枝をたくさん作らせるのではなく、野生の原木のように太い幹を作らせ、1メートル四方に1本だけ植えることでストレスをかけずに強い木に育てる栽培法です。同園では、チャノキを完全無農薬・無化学肥料の有機栽培で育てており、残留農薬ゼロという非常に厳しい条件をクリアしています。また、有機JAS認定※とJ-GAP認証※の二つの信頼性の高い認定も受けています。
 
本化粧品原料は、この一本仕立ての原木のようなチャノキからとれる茶葉を使用していることから、「原木緑茶エキス」と名付けました。

※有機JAS認定:日本の農林水産省が定める有機JAS規格に基づいて、生産・製造された食品に与えられる認定
※J-GAP認証:「食の安全性」や「環境保護」に取り組んでいることが、第三者機関の審査により確認された農場に与えられる認証。農林水産省が推奨する、世界的にも高い評価を得ている日本の標準的な農業生産工程管理手法で、農業版HACCP(ハサップ)といわれる

チャノキが中国から伝来した鎌倉時代、お茶が体に良いことは広く知られていましたが、おいしいといえるものは決して多くはありませんでした。その後、おいしさを追求し改良に改良を重ねてきた結果、チャノキは農薬なしでは虫や病気に勝てなくなり、本来持つ体に良い成分も減少してしまいました。その他にもお茶が完全無農薬では難しいとされる要因に、茶園の立地の問題があります。茶園同士は隣合っていることが多く、どちらかが農薬を少しでも使っていると、風や土壌の流出で隣の茶園まで農薬が運ばれてしまいます。
 そのため、葉っピイ向島園では他の近隣の茶園が見えないほど大幅な間開けをするといったように周辺環境にも大変気を配り、これに独創的な一本仕立ての栽培が加わることにより、完全有機栽培の茶葉生産を実践しています。

3. 原木緑茶エキスに含まれる有効成分

3.1 カテキン

原木緑茶エキスをLC-MSのネガティブイオンモードで分析しました。その結果、原木緑茶エキスには、主に6種のカテキン類が検出されました。カテキンは茶の抗酸化性に強く関与する成分です。
同一エキス分濃度で分析した他社緑茶エキスと比較すると、原木緑茶エキスの方がカテキン類を多く含み、とくにエピガロカテキン類において顕著な差が見られました。エピガロカテキンはB環にピロガロール基(3,4,5-トリヒドロキシ)をもつカテキンに特徴的な構造です。

フラボノイドが示す生体調節機能の多くは、その抗酸化作用とタンパク質との相互作用に起因します。抗酸化作用については、B環に2個の水酸基を持つカテコール型(図:エピカテキン)と3個の水酸基を持つピロガロール型(図:エピガロカテキン)のフラボノイドが強い活性を持つことから、両構造を有するカテキン類は抗酸化性の高い成分として注目されています。一方、タンパク質の相互作用については、B環のピロガロール基がチロシナーゼの阻害に重要であることが報告されており1)、カテキンとタンパク質との相互反応は、カテキンが示す生体調節機能の本質を理解する上で重要なメカニズムと考えられます。

カテキン類は緑茶ポリフェノールとして、血圧調節、コレステロール調節、抗老化、抗突然変異、抗菌、抗アレルギーなど様々な生理作用が報告されています。皮膚への塗布による有用性についても、抗ニキビや美白作用などについて報告されています2,3)。原木緑茶エキスにもカテキン類に起因する様々な美肌作用が期待できます。

カテキンは植物(チャノキ)においては病害抵抗性物質として働いています。EGCgなどのピロガロールカテキンは、カテコールカテキンよりも抗菌活性が高いことも報告されており4)、これらのカテキン類が原木緑茶の完全有機栽培において重要な役割を担っていたのかもしれません。

<参考文献>
1) 高木啓二 三重大学生物資源学部紀要 31 99-100 (2004)
 樹木抽出成分の化粧品への利用に関する研究
2) Saric S et al. Antioxidants. 29 6 (2016)
 Green tea and other tea polyphenols: effects on sebum production and acne vulgaris.
3) Kim YC et al. J Vet Sci. 16 135-43 (2015)
 Anti-melanogenic effects of black, green, and white tea extracts on immortalized melanocytes.
4) Hirasawa M. Takada K. J Antimicrob Chemother. 53 2 225-9 (2004)
 Multiple effects of green tea catechin on the antifungal activity of antimycotics against Candida albicans.
 


3.2 テアニン

 
テアニンはチャノキ(Camellia sinensis)の葉に特異的に含まれるアミノ酸の1種で、茶の旨味成分の1つです。またテアニンには、脳・神経系に作用することによるリラックス効果があることが知られています。

原木緑茶エキスにもテアニンは含まれ、比較品として分析した宇治茶よりも多く含まれることが示されました。テアニンの肌への有効性に関しては、抗炎症効果が期待できることが報告されています。

・Topical delivery of l-theanine ameliorates TPA-induced acute skin inflammation via downregulating endothelial PECAM-1 and neutrophil infiltration and activation.
 W-J Zeng et al. Chem Biol Interact. 284 (2018)
・L-theanine alleviates IMQ-induced psoriasis like skin Inflammation by downregulating the production of IL-23 and chemokines.
 Y Xu et al. Front Pharmacol. 12 (2021)


3.3 クエン酸

原木緑茶エキスの有機酸を分析したところ、他社緑茶エキスよりもクエン酸の量が多いことが分かりました。クエン酸は整肌成分で、皮膚を弱酸性に保つ効果があります。
 クエン酸は茶成分のなかでもとくに閾値が低く、茶の味に影響することが知られています。クエン酸はシュウ酸の舌に残るえぐみを消したり、あとに残る甘味に寄与する成分でもあります5)。
 クエン酸は植物(チャノキ)にとっても重要な成分です。植物は根から吸収した窒素からタンパク質を合成して茎葉をつくりますが、この際にクエン酸回路が働くことにより、厚く丈夫な葉が形成されます。

5) 堀江秀樹ら 茶研報 93:26~33 (2002)
有機酸 の緑茶中含有量 と茶品質への寄与
 

4. 原木緑茶エキスの炎症関連遺伝子発現抑制作用

<試験方法>
ヒト表皮角化細胞を24時間培養。その後、原木緑茶エキス含有DMEMを加え48時間培養。RNA抽出よびcDNA合成、cDNAを用いてRT-qPCR
試験濃度: 1μg/mL

 

<遺伝子の特徴>
IL1A(Interleukin-1α: インターロイキン-1α)
表皮細胞から産生される炎症性サイトカイン。産生されたIL-1αは色素細胞を刺激し、メラニン産生を促進します。紫外線などの影響で増加し、シミ形成の原因となります。
EDN1(Endothelin-1:エンドセリン-1)
表皮細胞から産生されるサイトカインの1つ。紫外線などの影響により表皮細胞で作り出されたエンドセリン-1は色素細胞を刺激し、色素細胞内のチロシナーゼを活性化させメラニン産生を促進します。
MIF(Macrophage migration inhibitory factor:マクロファージ遊走阻止因子)
色素細胞でのメラニン合成促進因子の産生を促進するタンパク質。紫外線などの影響により表皮細胞から分泌され、SCFやPAR-2の産生促進を介してシミ形成を促進します。
 

原木緑茶エキスは、ヒト表皮角化細胞において、インターロイキン-1α(IL1A)、エンドセリン-1(EDN1)ならびにマクロファージ遊走阻止因子(MIF)の遺伝子発現を抑制しました。紫外線などによって発生する活性酸素種(Reactive Oxygen Species, ROS)は、表皮細胞の様々な“遺伝子スイッチ”を入れ、IL1Aなどの炎症性のタンパク質の産生が促進されます。 EDN-1は表皮細胞から分泌され、EPBRというレセプターを介してメラノサイトに信号を伝達、メラノサイトのチロシナーゼ活性を高めます。MIFもメラニン合成を促進させるタンパク質です。原木緑茶エキスには、これらの因子を抑制することにより美白効果が期待できます。
 

5. 原木緑茶エキスのヒアルロン酸保護作用

<試験方法>
ヒアルロニダーゼと検体を反応させ、活性化処理後、ヒアルロン酸を添加。
生成するN-アセチル-D-グルコサミンをエールリッヒ反応により吸光度測定(570nm)
試験濃度: 1, 10, 100μg/mL

原木緑茶エキスはヒアルロニダーゼ阻害活性作用を示しました。ヒアルロニダーゼは肌の水分保持に重要なヒアルロン酸を分解する酵素です。炎症によって真皮線維芽細胞で増加し、肌の柔軟性や水分保持能を低下させ、しわやたるみの原因となります。皮膚炎症の指標にもなっています。原木緑茶エキスには、炎症を抑えることによる美白作用や、ヒアルロン酸保護による抗老化作用が期待できます。
 

6. 原木緑茶エキスの美白作用

<試験方法>
チロシナーゼ活性阻害試験:メラニン合成酵素チロシナーゼに対する阻害効果を、ドーパからドーパクロームの酵素生成物の量で測定  
試験濃度:25, 50, 100μg/mL

原木緑茶エキスはチロシナーゼ活性を阻害しました。チロシナーゼはメラニン産生に必須の酵素です。紫外線などの影響で活性化し、色素細胞中でチロシンというアミノ酸から段階を経てメラニンになる際に作用します。シミなど色素沈着のある肌で活性化しています。原木緑茶エキスに豊富に含まれるカテキン類が効果を発揮していると考えられます。
 

7. 原木緑茶エキスの抗酸化作用

<試験方法>
・ラジカル消去試験:DPPHラジカルの消去能を測定 
・スーパーオキシド消去試験:キサンチン/キサンチンオキシダーゼ系により生じるO2-を測定
 試験濃度:1, 10, 100μg/mL
・HORAC (Hydroxyl Radical Antioxidant Capacity):ヒドロキシラジカル開始剤とフェントン試薬による蛍光プローブの酸化による消光を測定。対照として原木緑茶エキスと同一条件でカカオエキスを調製

原木緑茶エキスはラジカル消去活性、スーパーオキシド消去活性を示しました。また、ポリフェノール含有素材として有名なカカオのエキスとHORAC値を比較したところ、原木緑茶エキスはHORAC値で示されるヒドロキシラジカル消去能(没食子酸相当量:GAE)において、カカオエキスよりも1.6倍高い活性を示しました。
 酸化はコラーゲンの分解や架橋形成、炎症反応にもつながり、しわ、たるみ、しみの原因となり、皮膚老化の一番の原因とも言われています。DPPHラジカルの消去作用によって抗酸化活性の指標とすることができます。原木緑茶エキスは紫外線暴露により生じるROSを消去することにより光老化抑制効果が期待できます。
 


8. 原木緑茶エキスの抗糖化作用

<試験方法>
アルブミンに検体溶液を添加し60℃、48hrインキュベート
試験濃度:0.01, 0.1, 1mg/mL

原木緑茶エキスは糖化タンパク質生成抑制作用を示しました。タンパク質の糖化は終末糖化産物(Advanced Glycation End products: AGEs)の生成へと至り、皮膚へのAGEs蓄積は肌の透明感を低下させたり、しわやたるみの原因となることが分かっています。皮膚の糖化は、皮膚老化原因の3割を占めているともいわれています。
 


9. 原料情報

原料情報
・静岡県藤枝市の「葉っピイ向島園株式会社」で完全有機栽培で生産された茶葉から抽出
・表示名称:チャ葉エキス
・INCI名: Camellia Sinensis Leaf Extract
・中文名称:茶(CAMELLIA SINENSIS)叶提取物

安全性情報
・24時間閉塞パッチテスト:刺激性なし
・SIRC細胞を用いた眼刺激性試験:刺激性なし
・ROSアッセイによる光毒性試験:陰性



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