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白桐の炭

 
多孔質構造は優れた吸着性
FGP  ~ 白桐の炭(ペースト) ~2019.07.30

秋田県産などの国産桐たんす加工の廃材を活用
炭材のなかでも優れた多孔質
皮膚に付着する汚染物質の吸着や
悪臭の除去が期待できる使いやすいペースト原料

FGP: ふるさと元気プロジェクト


1. 桐について

<桐と日本人>
桐の原産地は中国とされており、日本には飛鳥時代の頃に渡来し、北は北海道、南は鹿児島まで広い範囲に生育しています。桐は幸福を運ぶ鳥「鳳凰」がとまる木、縁起の良い木、幸福をもたらす木として神聖視されてきました。日本の歴史においては、朝廷の紋章にも使われるほど皇室とも縁が深く、高貴な樹木として尊重されてきました。また、白桐をもとに意匠化された家紋(桐紋や桐花紋という)がいくつかあり、中世以降は武家が望んだ家紋としても有名で、足利尊氏や豊臣秀吉などもこれを天皇から賜っています。このため五七桐は「政権担当者の紋章」という認識が定着しました。現在でも日本国政府の紋章として用いられているほか、菊花紋に準じる国章としてビザやパスポート、そして500円玉硬貨の表面にも桐の花と葉がデザインされ、国章に準じた扱いを受けています。

<桐の伝承>
桐は成木になるまでに20~30年と早いことが特徴です。かつての日本には、女の子が生まれると桐の苗を植え、お嫁さんになる頃に成長したその桐で箪笥を造り、嫁ぐ娘の幸せを願い嫁入り道具としてあつらえる風習があったことから、桐箪笥が嫁入り道具の代表格となりました。箪笥は江戸時代初期から普及し始めたといわれます。木造住宅が多かった当時、「火事と喧嘩は江戸の花」と言われるほど、火災が多い都市でした。このような中、桐箪笥は火災から人々の大切なものを守ったと言われています。桐は熱伝導率が極めて低く発火点が425℃と高いことがその理由です。表面が焦げても火が回りこむのに時間がかかり中までは燃えにくく、断熱効果が高いのです。「桐箪笥は黒焦げだけど中の着物は無事だった」なんてエピソードも残っているほどです。

<桐産地>
桐の種類は日本桐、中国桐、台湾ウスバ桐など様々ですが、木質や木目の美しさから、日本桐が最高品質だと言われています。その中でも気候、水、土壌等の要素から、東北地方や新潟のような米どころの桐が最上級の評価を与えられています。産地としては秋田県、岩手県、新潟県、福島県などが有名です。 今回、化粧品原料開発に成功した桐炭は主に秋田県の桐を用いています。江戸時代初期、日光東照宮を作るために日光街道の宿場町である春日部に宮大工集まったことが、埼玉で桐工芸文化が栄えたきっかけと言われています。埼玉県本庄市に店を構える関根桐材店は、1900(明治33)年創業の老舗で、桐製品の製造・販売を手掛けています。製造の過程では多くの廃材が生じています。4代目代表の関根紀明氏は、この毎月約3トン出る桐の廃材を何とか有効活用できないかを模索していました。その可能性を探っていた矢先、化粧品としての転用を思いついたそうです。


2. 白桐の炭とは

白桐の炭は、主に秋田県で栽培された桐をスタート原料として、主に桐箪笥加工の際にでる廃材を利用し、炭焼きを行いました。黒色の粉末をグリセリンによりペースト状に加工し、化粧品原料として利用しやすい性状にしています。桐炭は下記の電子顕微鏡写真のとおり、他の植物を原料とした炭と比較して多孔質であることが分かります。この多孔質構造は吸着性が高いとされ、不純物の吸着や悪臭の除去などが期待できます1)。

<参考文献>
1) 岸本定吉著 創森社 (1998) 「炭」
 
 


3. 生産者・製法


4. 白桐の炭のスーパーオキシド消去作用

<試験方法>
・スーパーオキシド消去試験:キサンチン/キサンチンオキシダーゼ系により生じるO2-を測定
 試験濃度:0.03, 0.3, 3mg/mL

<結果と考察>
白桐の炭はスーパーオキシド消去活性を示しました。酸化はコラーゲンの分解や架橋形成、炎症反応にもつながり、しわ、たるみ、しみの原因となり、皮膚老化の一番の原因とも言われています。活性酸素の消去作用によって抗酸化活性の指標とすることができます。白桐の炭はROSの産生を抑制する、あるいは産生したROSを消去するいずれかの作用により、ROS抑制効果が期待できます。


5. 製品情報

原料情報
・表示名称:グリセリン、炭
・INCI名: Glycerin, Charcoal Powder
・中文名称:甘油、炭粉

安全性情報
・24時間閉塞パッチテスト:刺激性なし



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